2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Research for Chinese Legal History under the Yuan-Ming Period
Project/Area Number |
15K02890
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
徳永 洋介 富山大学, 人文学部, 教授 (10293276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正人 金沢大学, 法学系, 教授 (60237427)
小島 浩之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 明律 / 律 / 条例 / 法典編纂 / 刑罰制度 / 官僚制 / 典籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、東京大学経済学部資料室において、5月・7月・9月・12月・3月の5回にわたり定例研究会を開催し、『皇明条法事類纂』巻3「名例類」の精読と検討を行った。基本テキストには引き続き東京大学附属図書館収蔵本のデジタル写真版を用い、『中国珍稀法律典籍集成』(科学出版社、1994年刊)所収の点校本も参照しながら校訂・分析作業を進めた。さらに『天一閣蔵明代政書珍本叢刊』(線装書局、2009年刊)に収める「皇明成化条例」や「皇明弘治条例」をはじめ、国立公文書館に所蔵する『条例備考』などとの比較対照を進めた結果、本書が孝宗の弘治年間(1488~1505)を境に新たな皇帝が即位するたびに既存の条例を一括して廃棄し、律のみを唯一の法源と宣言する慣行をやめ、律と例をいわば一体の法規として整理・集成する動きが一般化するなかで現れたものであり、行政の現場が個別の事案に応じて関連する条例(例)を簡便に検出できるよう編まれた私撰の法令マニュアルであることが判明した。 また初年度から整理作業を続けてきた新たな底本づくりについても、本書の全編にわたる整理・検討を経て、『皇明条法事類纂条名目録』として完成させただけでなく、旧鈔本の写真版公開の準備を終えることができた。本書が元明時代の法制に占める歴史的意義をはじめ、本研究で得られた知見は目録の「解題」にも掲載したが、これらの成果によって、かねてから貴重な史料とされながら、ほとんど活用されてこなかった『皇明条法事類纂』の本格的な解読が大きく進むことは間違いない。 なお、本研究で用いた『皇明条法事類纂』のデジタル写真画像は、『条名目録』の内容ともども、平成30年の夏期までには新たな整理番号を付けて東京大学総合図書館のwebサイトで公開されることになっており、今後、内外の研究者を裨益するところは少なくないと判断される。
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Research Products
(4 results)