2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02893
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 穣 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60201935)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アフガニスタン / フロンティア / 文化接触 / 比較史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は研究計画のとりまとめに向け、比較フロンティア史研究に関する文献収集と分析、およびそれらの成果をいかにアフガニスタン前近代史に適用できるかという点の検討を行った。また、いわゆるnatural frontierの問題を考えるため、アフガニスタンの地理、環境に関する新旧の報告を渉猟し、同地域の地理的・生態的特徴と、歴史的展開の関連を議論する為の準備を整えた。一方、成果公開の一環として、平成29年6月、ノートルダム大学と共催で国際シンポジウム The History and Culture of Iran and Central Asia in the First Millennium CEを開催した。アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、イスラエル、ウズベキスタン、オーストリア、イタリアなどから21名の報告者を集め、三日間にわたって内容の濃い報告と議論が行われた。本シンポジウムの成果は論文集としてノートルダム大学出版局から刊行予定である(2019年)。成果の一環として、Journal of Innner Asian Art and Archaeology に論文が掲載され、また、D. G. Tor 編 The 'Abbasid and Carolingian Empires (2017)に Across the Hindukush of the 'Abbasid Period という題名の一章を執筆したものが出版された。ただ、年度後半において在外研究プログラムに従事するためアメリカに滞在し、科研費の研究計画と異なるプロジェクトを遂行したため、最終的なとりまとめや成果公開計画については、平成30年度に繰り越すことを決定し、申請してこれを認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノートルダム大学と共催の国際学会を開催し、最新の研究成果の報告と、報告論文集の作成刊行を決定した点は研究の順調な進捗を示すと考える。しかし上欄にも触れたとおり、最終年度途中で在外研究プログラムのため日本を離れ、科研の研究計画と異なるプロジェクトを遂行したため、平成29年度中に研究を終わらせることが出来ず、一年の延長を申請したため、「やや遅れていいる」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
途中で保留状態となっていた、成果とりまとめおよび公表を平成30年度中に行う。具体的には、前近代アフガニスタンとフロンティアに関する研究報告および論文執筆を行うこと、ならびに前近代西アジア・中央アジア史の専家であるノートルダム大学Deborah G. Tor博士を招聘し、学術講演及びシンポジウムを開催し、研究成果の公表を行うことを予定している。ロンドンで開催した国際シンポジウムの報告論集については2019年度以降の刊行を予定している。
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Causes of Carryover |
平成29年9月より平成30年5月まで、アメリカにおいて在外研究プログラムに従事し、科学研究費補助金の研究計画と異なるプロジェクトを遂行したため、もともと年度後半に予定していた研究者招聘や成果報告などを行うことが出来なかったため、研究計画そのものを一年延長し、成果のとりまとめと公表を行うこととしたため。
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Research Products
(4 results)