2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Structure of Elite Family in Song China
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15K02900
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
遠藤 隆俊 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00261561)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宋代 / 蘇州范氏 / 族譜 / 宗族 / 家族 / 家庭 / 生育 / 婚姻 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国宋代士大夫の家族の動態を計量的に解明するため、蘇州范氏家族を取り上げて分析を行った。最終年度は、まず彼らの族譜である『范氏家乗』の史料性に着目し、その編纂過程を考察した。その結果、この族譜は、直接的には明末以来の編纂に係るものであるが、宋代以来の史料を多く含んでいることが判明した。とくに男子の生卒や生育、婚姻などについては史料価値も高く、今後の研究に有用であることを解明した。 次に、この族譜史料を用いて、范氏の人口問題や生育、婚姻などを分析、考察した。その結果、宋元時代の范氏の人口は北宋に急増し、南宋で安定し、元代になるとまた増加することがわかった。また個別の房ごとに人口の増減傾向は異なり、各房、各家族の社会的地位や身分、財力に関わるものであることが判明した。婚姻は一夫一婦制であり、一組の夫婦から生まれる男子の数は平均で3名以内であることがわかった。そのため、多くの族人は継嗣という族内の養子縁組によって、子孫の系譜をつないでいる。 さらに、宋代における家庭、家族、宗族の関係を論理的に追究し、宋以後の宗族は5世以上になっても系譜を遷移、分割せず、何世代にわたっても系譜をつないで行く点で古宗法とは異なる点を明確にした。その結果、宗族は家庭、家族の論理とは異なり、構成員の全員が平等、均等の関係にあり、社会的には家庭、家族を保護するセーフティーネットの役割を果たしていたことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)