2016 Fiscal Year Research-status Report
古代中国における地理情報の文書化過程-出土文字資料から『水経注』『山海経』へ
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15K02907
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
村松 弘一 学習院大学, 付置研究所, 教授 (70365071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐本 東太 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (60205044)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国古代 / 地理認識 / 交通路 / 堤防 / 環境史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では秦漢時代の地理情報の文書化の過程を以下の3点について研究をすすめる計画である。(1)長江流域の都市の変遷はどう記されるのか?(2)秦漢時代、長江流域の距離はどのように測定したのか?-線の地理認識(3)秦漢時代、長江の洪水を防ぐ堤防はどのように建設されたのか。 上記の点について解明するために、2016年度は(1)香港中文大学所蔵河堤簡について再度検討を加え、伝世文献で長江流域の堤防を「河堤」と記した事例が見られないことから、この木簡にかかれた堤防の所在地は、当初の想定の長江流域ではなく、黄河流域であった可能性があるとの認識を得た。漢代に長江流域での堤防はつくられておらず、その点においても、黄河の堤防について改めて資料を収集・整理したいと考えている。なお、黄河の古河道の復元は重要な意味をもつ。中国水利史研究会では「秦漢時代水利史研究の新展開」と題し、黄河の復元の問題についても議論した。(2)秦漢時代の環境認識については、「漢代における災害救済の変化と環境」「関中における灌漑と塩池」と題した口頭発表をおこなった。なお、これらの研究会では南開大学の夏炎氏、復旦大学の費傑氏、陝西師範大学の高昇栄氏を招へいし、国際的な視点からも現在の研究を見直すことができた。以上のように様々な観点からの研究をすすめてきた。今後は出土資料の比較検討をすすめつつ、『水経注』『山海経』の地理認識についての検討を加えることとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国水利史研究会にて報告するなど研究は順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ではこれまでの調査・資料整理をまとめて成果として論文の作成に入りたい
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Causes of Carryover |
本年度は対象とする資料の整理および比較検討に力点をおいたため、予定よりも研究費の使用額が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度はこれまでの研究の成果をまとめる必要がある。そのための資料購入および海外での成果発表などに使用する予定である
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