2017 Fiscal Year Research-status Report
古代中国における地理情報の文書化過程-出土文字資料から『水経注』『山海経』へ
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15K02907
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
村松 弘一 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (70365071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐本 東太 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (60205044)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国古代 / 地理認識 / 交通路 / 堤防 / 環境史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では秦漢時代の地理情報の文書化の過程を以下の3点について研究をすすめる計画である。(1)長江流域の都市の変遷はどう記されるのか?-点の地理認識(2)秦漢時代、長江流域の距離はどのように測定したのか?-線の地理認識(3)秦漢時代、長江の洪水を防ぐ堤防はどのように建設されたのか?-防災と地理認識、という観点からの研究である。 2017年度はこれまでの二年間の研究実績に基づき、海外の研究者との共同研究を一層すすめ、日本に招聘された黄学超(復旦大学)、段清波(西北大学)、張青瑤(陝西師範大学)の各氏とのディスカッションによる学術交流をおこなった。特に、古代秦漢時代の陝西省の昆明池の水利システムや山西省の土地利用に関して、本研究の『水経注』とかかわる貴重な意見交換ができた。また、中国人学者とともに日本国内(特に奈良盆地飛鳥地方)における水利施設の踏査もおこなった。 今後は、当初の予定通りにはすすまなかった長江流域や洞庭湖周辺の自然環境と人間に関する出土文字資料・考古資料と文献資料の比較検討をおこない、『水経注』『山海経』の地理認識についての調査をさらに加えることとしたい。なお、本研究も関連するテーマの共編著書『馬が語る古代東アジア世界史』(汲古書院)を上梓した(編集のほか、黄土高原の支配と馬の飼養についての環境史論文も掲載)。今後は長江流域の人間と環境に関する研究成果の一層の公開につとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査や水利施設に関する比較研究調査はすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究準備を最終的に整理し、論文等のかたちでまとめたい。
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Causes of Carryover |
国内での資料整理、踏査に時間がかかってしまったため、中国調査が時間的に遂行できなかったため。
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