2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02914
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
野田 仁 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (00549420)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 露清関係 / 新疆 / カザフスタン / 裁判制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ロシア・清の2帝国の西方境界(新疆)において19 世紀後半から20 世紀初頭にかけて設定されていた司法制度を分析することによって、この地域に成立していた国際的な秩序の形成過程を明らかにすることにある。その中で、国際集会裁判として結実した両国間の紛争解決手段の成立過程、またその具体的な司法手続きから、両帝国間に位置した中央アジアの諸民族集団をも交えた秩序形成の実態を検討するほか、各集団の帰属意識にも注目する。 二年度目にあたる本年度は、露清間の外交交渉・通信文に反映されている諸集団の帰属状況・帰属意識について引き続き検討することに加えて、両国間の紛争解決手段として浮上した国際集会裁判の制度的な枠組みについて、外交条約文そのものの検討も含めて再検討を行った。その内容については口頭報告を行い、かつ英文による刊行を行っている。並行して、本研究の前史にあたる19世紀前半における露清間のカザフ遊牧民の移動、遊牧地の変遷についても検討を行った。 また、海外共同研究者Jampeissova氏による研究講演会(平成28年6月)を開催し、ロシア帝国によるカザフ遊牧地の把握方法、牧地の境界画定の過程について検討することができた。氏の招聘は他の研究経費によるものであったが、この機会にあわせて露清間の国際集会裁判を含むカザフ草原における司法制度の変化について、意見交換・ワークショップを行うことができた。 史料調査としては、台湾故宮博物院における調査があり、清末の文書史料中に、点数は多くないもののロシアとの国際集会裁判にかかわる史料を見出すことができた。その検討は次年度以降も引き続き行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存史料の整理に加えて、海外調査により新たに収集し得た史料によって、本年度の主眼であった国際集会裁判の制度的枠組みについて、くわしく検討することができた。また、成果の一部については口頭報告・刊行を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にしたがって今後も研究を進め、史料の分析と具体的な事例の整理を行う。 研究成果については国際会議での報告を行うほか、報告内容を論文としてまとめる作業も進める。
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Causes of Carryover |
発注していた図書資料が未納品となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において継続して発注を行い、図書資料として使用する。
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