2015 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮社会における朝鮮駐屯日本軍の実態と役割に関する基礎的研究
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15K02917
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
庵逧 由香 立命館大学, 文学部, 教授 (70460714)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 朝鮮植民地政策 / 朝鮮軍 / 植民地軍隊 / 連隊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画および課題に従い、朝鮮軍隷下の各連隊の基本構造分析および、徴集システムの分析に焦点を絞った。具体的には共同研究者とともに、朝鮮軍隷下基幹連隊である歩兵第73連隊~歩兵第86連隊までの10個連隊について、1.各連隊が戦後に編纂・出版した概要史や記念写真、2.所属兵士の回顧録、3.朝鮮軍所属兵士に関わるその他資料、の調査を行い資料目録を作成した。これを土台に、靖国偕行文庫や国会図書館、奈良県立図書館を中心に収集作業を行い、35点以上の連隊史および25点以上の朝鮮関連部隊所属兵士の回顧録を入手し、データ化した。また、3に関しては沖縄やオーストラリア戦争記念館で資料調査を行い、オーストラリア軍が朝鮮軍隷下の第78、79、80連隊から押収した資料や、同連隊所属の捕虜訊問記録なども調査・収集することができた。 こうした収集資料の整理や分析については、共同研究者とともに3回に亘り研究会を開いた。また、共同研究者と関西近郊にて関連史跡(連隊碑など)のフィールドワークを行った。 研究成果としては、「朝鮮に常設された第一九師団と第二○師団」を坂本悠一編『地域のなかの軍隊 7巻 植民地 帝国支配の最前線』(吉川弘文館)に執筆し、またオーストラリア国立大学で行われた国際シンポジウム「ASIA-PACIFIC WAR,1931-1945」(Strategic & Defence Studies Center他主催)にて、「The Structure of 'Total mobilization system' in Colonized Korea during Sino-Japanese War」を報告し、第37回「戦時期朝鮮社会の諸相」研究会にて「資料紹介:朝鮮軍隷下連隊資料 -第20師団隷下連隊に関するオーストラリア戦争記念館所蔵資料-」を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収集すべき史料が多く、1ヶ年度のみでは収集しきれなかった。資料調査および収集については、次年度以降も持続的に行っていく予定である。また、ニューギニアへの調査も検討したが、オーストラリアで情報収集をした所、個人で訪問するには危険が伴うことがわかり、現在のところニューギニア訪問は保留している状況である。 一方で、主題に関わる執筆・公刊や学会・研究会での発表は、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、資料調査・収集・分析を継続するとともに、研究計画通りに、課題2.所属兵士たちの植民地朝鮮認識についても、分析の視野を広める。韓国の共同研究者とともに共同研究を進めるとともに、現地フィールドワークも予定通り行う予定である。研究計画に大幅な変更は行わない予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに助成金を使用したが、文具などの消耗品の一部を購入しなかったため3000円弱の残額が生じたため、翌年度分に入れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、年度初めに必要な文具などを購入する予定である。
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Research Products
(3 results)