2016 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮社会における朝鮮駐屯日本軍の実態と役割に関する基礎的研究
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15K02917
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
庵逧 由香 立命館大学, 文学部, 教授 (70460714)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 朝鮮軍 / 植民地の軍隊 / 戦時動員 / 植民地の兵士 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、朝鮮軍隷下の各連隊資料リストの補充およびこれに基づく個別資料の収集を東京(偕行文庫、国立国会図書館)、奈良県立図書館などで行い、追加で20点以上の資料を収集し、資料整理・分析を行った。関連史跡フィールドワークに関しては、釜山(地下司令部跡)・ソウルの富坪(三菱軍事工場跡・陸軍倉庫跡など)、日本国内の日本軍関係史跡(大阪、京都)などの朝鮮軍・日本軍関連史跡フィールドワークも行った。また、朝鮮軍と類似する日本軍の植民地軍隊として、台湾軍に関わる現地調査を台湾(台北・高雄・台南・花蓮など)で行った。台湾には朝鮮半島よりもはるかに多くの日本軍関連施設が残存しており、特に屏東の海軍官舎街跡、台南の陸軍病院・官舎跡などは大変参考になった。 朝鮮軍の全体構造および徴兵のシステムについては前年度に引き続き分析を続けている。本年度のテーマである朝鮮軍認識については、主に研究協力者が植民地期の朝鮮文学を中心とする朝鮮人の朝鮮軍認識について分析を進めている。また朝鮮軍に関わる研究成果としては、研究代表者が羅津など朝鮮半島北部に駐屯していた特別根拠地隊を中心とする海軍の分析を行い、韓国史学会全国大会で報告した。 また、2016年12月より、高麗大学校韓国史学科鄭泰憲教授を中心に行われる朝鮮軍関連共同研究に共同研究者として参加することになった(総額6億ウォン、2019年9月終了予定)。本共同研究は、韓国学中央研究院の支援を受けて行われ、まだ緒に着いたばかりの韓国に置ける朝鮮軍研究の基盤づくりのために、関連基礎資料の収集及び翻訳叢書の発刊を目的としている。本研究で一昨年度より行ってきた資料収集及び分析も本共同研究に企画基盤の一部を提供しており、本研究にとっても本共同研究への参加は、研究の更なる進展と研究交流の拡大に寄与するところが大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き資料調査・収集および分析は順調に進んでいる。資料調査のうち、関西・関東以外の地域に存在する資料についてはまだ調査・収集があまり進んでおらず課題も多いが、朝鮮軍関連の共同研究に参加したことで、計画外の進展があった。主題に関わる研究発表も行い、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
朝鮮軍研究について、2017年度は引き続き資料収集・整理・分析を行っていく。特に課題として残されている地方資料、特に徴兵に関わる資料について調査を続けたい。また、朝鮮軍徴兵・連隊関連の研究成果をまとめていく予定である。さらに、予想外に朝鮮軍に関わる施設が朝鮮半島に残されていることが調査によって明らかになったため、現地フィールドワークも続けて行く予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表や海外調査で、海外研究機関からの招請により旅費などの支給を受け、使用しない経費(主に旅費)が複数回生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料収集のための旅費および資料購入費として使用する。
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Research Products
(5 results)