2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02920
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中田 美絵 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (00582842)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソグド商人 / 仏教 / 唐 |
Outline of Annual Research Achievements |
唐代仏教史をユーラシア史的な文脈のなかに位置づける試みとして、これまで、仏教を推進した政治権力の人的構成や、仏教事業とユーラシア全体の政治動向との関係について考察を行ってきた。一方、仏教展開の基礎となる寺院に目を向けると、その繁栄は、遠隔地商人のもたらす富に委ねられる部分が少なくなく、交易との関連からの視点も不可欠である。そこで、本研究では、中国を含むユーラシア大陸の広い地域に交易ネットワークを張り巡らしたソグド商人に着目し、彼らの東方活動が中国仏教の展開にいかなる影響力を持っていたのかを考察する。 初年度の2015年度は、関連研究の収集と、史料調査を重点的に行った。国外では、2015年8月に、中国北京(国家博物館、国家図書館・万仏堂・法源寺)・大同(大同博物館、雲崗石窟)にて資料調査を実施した。国内では、ソグド商人の中国内地における仏教受容の実態に関して、特に「改宗」という観点から研究を進めた。また、陸上のソグド商人に関わる史料だけでなく、海上ルートで活躍するソグド商人と仏教僧侶の活動に関わる史料もあわせて収集した。 以上の作業から得られた成果の一端として、中央アジア学フォーラムとワークショップ“Globalization from East Asian Perspectives”にて、それぞれ、「天竺から唐に来たソグド人―米准那の例を中心に―」、“A Sogdian from the Sea:Maritime Transport in the 8th Century as Seen from The Pilgrimage Record of Vajrabodhi”と題する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実施計画」にもとづき、中国における資料調査を実施することができた。また、研究成果の一端を、研究会と国際ワークショップで発表し、意見交換を行うことができた。予定していた関連研究の収集については、不十分なところもあり、2016年度も引き続き行うが、研究全体としては、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究の進展を受けて、今後は特に香薬交易に着目し、関連史料を集めていく。内陸貿易に限定せず、南海貿易関連の資料収集も行う。その際、ソグド商人だけでなく、同じ頃海上で活躍していたペルシア商人などの動向もあわせて考察する。また、編纂史料や石刻史料の収集・分析だけでなく、考古史料の調査も進めていく。
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Causes of Carryover |
年度末(2016年3月)に参加した国際ワークショップで提出する英文原稿のネィティブチェック代を、予定の額より低く抑えることが出来たので、残額が生じた。また、残額で必要な洋書を入手する予定だったが、海外からの取り寄せになるため、年度内に入手することが難しいことがわかり、次年度の使用に変更した。以上の理由で、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金については、「理由」で述べたように、洋書購入費にあてる。それ以外は、国内外の調査と、関連する資料収集のために使用する予定である。また、国際学会での発表があるので、英文原稿のネイティブチェック代として使用する。
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Research Products
(2 results)