2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02920
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中田 美絵 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (00582842)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 唐代 / 寺院 / ソグド人 / 交易 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、引き続きソグド商人やペルシア商人などの中国における交易・宗教活動に関わる資料の収集・整理・解読を行った。陸経由で中国本土にやって来る場合と比較すると海経由でやって来る彼らの交易活動の実態や信仰状況は不明な点が多い。そこで、唐代までの中国沿岸部における交易状況や信仰状況の全体像を把握する必要から、関連する先行研究の収集と整理を重点的に行った。海外調査では、南海交易に関する調査の一環として、ベトナム・ハノイを中心に関連する遺物・遺跡の調査を行った。 また、具体的な成果は次のとおりである。唐代・玄宗開元期に様々な仏教政策が実施された背景について、皇后や公主といった女性たち、そして「胡」と呼ばれる人々の諸活動と関連付けながら、史料の整理と分析を行った。その成果は、論文「唐玄宗開元期における仏教政策と「胡」への対応」として発表した。会昌の廃仏についても研究を進めた。会昌の廃仏は、武宗の道教傾倒、仏教教団の肥大化による国家財政問題、排外主義の高まりなどが背景にあるとされている。こうした先行研究を踏まえつつ、廃仏が実施された政治的・経済的理由について、内廷の宦官の勢力伸長、ソグド人ら外国商人の経済活動、寺院のもつ特質などから総合的に考察した。その成果の一端は、唐代史研究会・夏期シンポジウムにて、「唐代政治史上の会昌の廃仏―ジェンダー秩序・宗教・外来人の視点から―」として口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016・2017年度は、研究の対象地として、特に中国南方にも重点を置くようになったため、新たな課題が増えた。そのため、追加の作業が増えたものの、資料調査や整理等、おおむね順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2018年度は、本研究課題全体のまとめを行う。その一環として、国内と中国において研究報告を行い、国内外の研究者との意見交換を行う予定である。また、本研究に関連する重要史料のうち、まだ実見できていない石刻史料があるので、現地調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度の海外調査費が当初予定していた金額より少なく抑えられたため、次年度使用額が生じた。2018年度は、海外調査と国際会議の参加費、また、必要書籍の購入にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)