2016 Fiscal Year Research-status Report

宋～明代日用類書の基礎的研究

Research Project

Project/Area Number	15K02923
Research Institution	The Toyo Bunko
Principal Investigator	大澤正昭公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30113187)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	斯波義信公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00039950) 徳永洋介富山大学, 人文学部, 教授 (10293276) 渡辺紘良公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (90049180)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords	日用類書 / 明代 / 告訴状 / 所蔵機関目録 / 著作目録 / 三台万用正宗
Outline of Annual Research Achievements	本課題については、ほぼ毎月1回、3時間余りのペースで研究会を開催し（於東洋文庫会議室）、６～８名の参加によって報告、討論をおこなってきた。本年度の主な研究成果は以下の通りである。 ①宋～明代日用類書のうち、『新刻天下四民便覧三台万用正宗』（略称『三台万用正宗』）の訳注を重点的に進めた。巻8（下層）律例門所収「鳴情均化録」訳注稿および同「鳴情均化録」未収録条文訳注稿の二篇を（公財）東洋文庫のホームページに公開した。文責は大澤正昭である。 ②同じく巻21（下層）商旅門（斯波義信担当）、巻22（下層）算法門訳注稿（渡辺紘良担当）の作業も進めており、前者の成果はまもなく公開できる予定である。この他、関連する法制史・佛教史・環境史分野などの研究報告も行われ、討論された。 ③大澤は2016年11月13日に中国杭州・浙江大学で開催されたConfucian Entrepreneur Discourse 2016 （「儒商論域2016」）に宣読論文「客商たちの告訴状」を提出した。主催者からの連絡では論文集などは発行しないとのことであったので、本年度中に日本語版の論文を公表する予定である（『上智史学』に掲載予定）。 ④「明代日用類書所在目録」（国内版）を作成中であったが、間もなく完成する見通しが立った。近いうちに東洋文庫ホームページ上に公開できる予定である。 ⑤「明代日用類書関連著作目録」を作成中であるが、近年の中国における急激な研究増加により著作類の収集が追いつかない状況である。完成までにはさらに時間を要すると思われる。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 毎月研究会を開催できたことによって、ほぼねらい通りの成果を得られている。進行が遅れているのは著作目録の作成であるが、その理由は以下の３点である。①近年中国で史料集が発行され、研究材料が手に入りやすくなったこと。②いわゆる業績主義がいっそう進んであり、若手研究者の業績が急激に増加したこと。③これまでほとんど手をつけられていなかった分野であること。
Strategy for Future Research Activity	2017年度の研究重点は以下の所に置かれる。 ①これまで進めてきた研究成果をもとに、歴史学以外の分野および外国人の研究成果を吸収する。そのために、条件が許せばミニ・シンポジウムを開催する。無理な場合は1～2人の外国人研究者を招待し、研究交流をおこなう。当方の希望としては浙江大学・周生春氏、中国人民大学・尤陳俊氏、あるいは台湾海洋大学・呉蕙芳氏を考えている。 ②本年度、とくに追求したいテーマは日用類書の社会史史料としての有効性である。文学研究や法制史研究においては相応の研究成果が知られているが、社会史史料としての側面はいまだ十分には研究されていない。社会史を解明するための、類書の使い方、読み方、全体像の理解など解明すべき課題は多い。これらの論点について深化させたい。 ③『三台万用正宗』各門の研究は引き続き進め、商旅門については訳注稿を公表する。また明代日用類書全体を見渡して、法制史研究の史料としての価値を確認したい。 ④「明代日用類書所在目録」を完成させ、公開する。 ⑤引き続き「日用類書研究著作目録」の作成を進める。