2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the unification system between global areas in the Early Modern Europe
Project/Area Number |
15K02928
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 知幸 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (70312519)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ヨーロッパ中世史 / コミュニケーション / 情報・メディア / 地図史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は16世紀に編まれた画期的地図帳であるオルテリウス『世界の舞台』(Theatrum Orbis Terrarum)とその関連資料を収集・分析することにより地域間を体系的に関連づけるための思考プロセスを明らかにすることで、地域間統合システム、すなわちヨーロッパ近世における「達成されようとした世界」(ドメイン)を解明することを目的としている。 本年度は『世界の舞台』のすべての版刷における図版を収集し、その改変の全過程を跡づけるとともに、オルテリウスが参照した同時代の地図製作者による写本・刊本におけるイメージとの関連、また個々の地図製作者の抱く世界観等を分析した。 オルテリウスがその地図帳製作の拠点としたベルギー・アントウェルペンの大学図書館、オーストリアのウィーン大学図書館を訪れて資料の確認をおこなった結果、『世界の舞台』は1570年から1641年までの全刊行期間において本編35版、補遺13版のあわせて48版が刊行されており、うちラテン語版は16版(異刷4・増刷1含)、ドイツ語版5版(異刷1含)、フランス語版5版、スペイン語版4版、オランダ語版3版、英語版1版、イタリア語版1版であったこと、その全刊本における地図の図版数は177枚、これに歴史地図52枚を含めると全229枚に及ぶことが判明した。地図の層序分析では、1590年頃と1605年前後に拡充の画期があり、およそ大縮尺から小縮尺へと移行すること、移行の度合いはヨーロッパ西部の特定地域において顕著であることなどが明らかになった。 また、関連地図とその製作者の世界観の確認として、口頭発表「国王の天地学者――クリスティアン・スクローテン」(岩手県立大学アイーナキャンパス、2018年3月27日)をおこない、論文「メアリ一世のアトラスにおける支配の徴表」(東北大学附属図書館調査研究室年報、第5号、2018年3月)を発表した。
|
Remarks |
スタッフ紹介は不定期更新
|
Research Products
(4 results)