2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 博 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (90226936)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 西欧中世 / シチリア / 農民 / ノルマン / 羊皮紙 / アラビア語文書 / ギリシア語文書 / ラテン語文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は前年度と同じく、近年の研究文献の検討に加え、二つの固定した不自由農民層という認識が誤りであることを実証するために、入手済のアラビア語、ギリシア語、ラテン語羊皮紙文書の内容を検討し、農民を指すと考えられている主要な史料用語(具体的には、ラテン語の villani、servi、servi glebae、rustici、adscriptitii、inscriptitii、homines、coloni、aldii、metochii、cortisani、angararii、homines censiles、ギリシア語の paroikoi、andropoi、enapographoi、exographoi、アラビア語の rijal al-jara'id、muls、hursh、mahallat、ghuraba'など)を整理する作業を続けた。三つの言語のどの言葉がどの言葉に対応しているのか、また、それぞれの言葉の概念上の相違がどこにあるのかを可能なかぎり明らかにするための作業である。 また、2016年9月には、スペインのトレドにある文書館 Archivo Ducal de Medinaceliを訪ね、同館所蔵のオリジナル羊皮紙文書の実物を検討し、必要な文書の写真撮影を依頼した。指定した羊皮紙文書の写真撮影は、後日、文書館員によってなされ、その写真を入手することができた。現在は、この新たに入手した羊皮紙文書を含めて、史料の検討作業を続けている。なお、これまでの検討作業の成果を加えて、日本語で発表していた論文の改訂英語版を作成し、2017年1月に、英文学術誌に投稿した。この投稿論文は現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで経済的理由と情報不足から利用することのできなかったトレドの文書館 Archivo Ducal de Medinaceliを訪ね、必要なオリジナル羊皮紙文書の写真を手にいれることができたのは大きな成果である。文書の検討には時間がかかっているが、これまでの私の理解をサポートする情報が集まりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は当研究計画(3年)の最後の年度となるので、前半は入手済の史料や文献の検討を続け、後半にその成果を論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、スペインでの現地調査・資料入手、その検討作業に集中し、パソコン関連物品の購入、データ整理の作業を、次年度に行うこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度の4月に既にパソコン1台を購入済であり、今後、データ整理の作業にも取り掛かる予定である。
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Research Products
(1 results)