2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02938
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 京比子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40283668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イタリア / ヴェネト / 中世 / 河川交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヴェネト地方の丘陵都市とその周辺領域の建築・景観・生活、河川について研究を行っている建築史を中心とした東京の研究グループと予想外の交流が進み、中世ヴェネトを研究テーマとすることの可能性及びわが国における蓄積(建築史の調査結果やサーヴェイ)を確認することができた。まず合同沼地研究会(5月30日、東京大学)において、「中世北イタリアにおける河川交通と紛争 ―ポー川河畔諸都市とヴェネツィアの関係を中心に―」と題する発表を行った。そこで生まれた交流から、2月21日・22日開催の日伊国際シンポジウム「ヴェネトの領域史」(〔主催〕2013-2017年度科学研究費基盤研究(S)「わが国における都市史学の確立と展開にむけての基盤的研究」、研究代表者:伊藤毅、〔共催〕都市史学会)、に歴史学の側からの発表者としてパドヴァ大学のカンツィアン氏を招聘していただくことになった。それゆえ、当初の予定と異なり、その機会を利用して早速本年度から本科研による招聘研究者の講演会を関西で実現することができた。11月の渡伊の際、カンツィアン氏と講演の内容について打ち合わせを行い、「アドリア海、アディジェ川、アルプスの間(現在のヴェネト地方)における資源管理と政治軍事的戦略(12~15世紀)」というタイトルで発表をいただいた。また東京シンポでは、カンツィアン氏のコメンテーターをつとめた(講演タイトル:中世ヴェネトにおける未耕地の役割)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンツィアン氏の招聘によりポー川についての史料的研究を進める作業が後回しになったものの、講演から、10世紀~13世紀におけるヴェネト地方の河川をめぐる種々の紛争について、大局的な見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度すでにカンツィアン氏の招聘をすませたこともあり、28年度は招聘を行わず、29年度にヴァラニーニ氏、30年度にピリッロ氏を招聘する方向で進めている。カンツィアン氏の講演により、13世紀後半から、パドヴァ、ヴェローナ、ヴェネツィアが河川をコントロールする上で重要な勢力として台頭すること、特にアディジェ川のコントロールが焦点となっていくことがわかった。引き続きポー川をめぐるヴェネツィアと他都市の交渉を見ていくと同時に、13世紀後半のアディジェ川をめぐる都市間紛争、とりわけパドヴァがアディジェ川流域に進出して以降のヴェローナ、パドヴァ、ヴェネツィアの関係を調べていく予定である。
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