2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K02938
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 京比子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40283668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イタリア / 中世 / 河川 / ポー川 / 紛争 / ヴェネツィア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はヴェネツィアとクレモナの1258年の協約をめぐる政治状況を整理した。本協約はクレモナとヴェネツィアの協約でありながら、ポー川の通行をめぐってフェッラーラの領域での安全が問題となっている点で興味深い。今年度の作業としては、クレモナと皇帝の関係、パッラヴィチーノがクレモナの政権をとるに至った経緯、またヴェネツィアとフェッラーラの関係などについて、ニ次文献を中心に調査した。また夏にはクレモナの文書館に赴いてこの時代の前後の史料を調査し、当該のヴェネツィアとの協約がクレモナ文書館には残されていないことを確認した。同時にヴェネツィアの文書館でこの協約のオリジナル文書を確認した。その文書では、同年10月にパッラヴィチーノによってこの協約が批准されていることも記されていた。また当時の年代記を調査し、パッラヴィチーノと同盟関係にあったエッツェリーノ・ダ・ロマーノに対する教皇特使による十字軍派遣、エッツェリーノやパッラヴィチーノとフェッラーラを含む教皇派諸都市の戦いなどについて情報を得た。 なお12月には当初の予定どおり、ボローニャ大学のピリッロ氏を招聘して、中世アルノ川とフィレンツェに関する講演を行っていただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年をもって招聘事業は予定どおり終了することができた。また1258年の協約をめぐる状況について論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
カンツィアン氏、ヴァラニーニ氏、ピリッロ氏による三講演をまとめて翻訳する。
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Causes of Carryover |
次年度は最終年度でもともと配分額が少ない。当初は、最終年度は自分の論文を執筆することだけにあてる予定であったが、本科研で行った3本の講演はどれも興味深く、あらたに注をつけてもらって訳出し一冊の報告書としてまとめることが有益と考えるようになった。そのためには印刷費・製本費などが必要となり、当初の予算だけでは苦しいことが判明した。そこで、それに少しでも多くの予算を回すために、次年度使用額が生じるように配慮した。じっさいピリッロ氏の招聘は12月であったため、それほど予算がかからずに済んだ。先にも述べたように次年度はカンツィアン氏、ヴァラニーニ氏、ピリッロ氏の3名の講演をまとめて報告書とする予定である、従って、次年度使用額はその印刷・製本費の補助とする。
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Research Products
(2 results)