2016 Fiscal Year Research-status Report
聞き取り及び日記の分析を用いた米国ユダヤ人史、公民権運動史の研究
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15K02944
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
北 美幸 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (80347674)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ史 / 公民権運動 / ユダヤ人 / 黒人 / アフリカ系アメリカ人 / エスニシティ / 投票権 / 聞き取り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ合衆国で1950~1960年代に展開された公民権運動にボランティアとして従事したユダヤ人参加者本人に対する聞き取り調査・活動日誌・その他一次史料(書簡、ノート、本人が撮影した写真等)の分析を行うことで、彼らの参加の動機や活動の具体像、ユダヤ人としての意識等を追おうとするものである。米国ユダヤ人は、全国の人口の2~3%を占めるに過ぎないにもかかわらず、公民権運動にボランティアとして参加した白人のうち、半分~3分の2を占めたといわれる。特に、有権者登録運動(選挙の際に投票するための事前登録を、黒人に勧め手助けする運動)に参加した大学生世代の数が多く、その元・参加者への聞き取りにより参加の動機や経歴・思想を探ることは有効な研究手段であるといえる。 そのため、本研究では以下のように課題を区分した上で研究を進めている。 ①南部で展開された運動として、1964年のミシシッピ・フリーダム・サマー計画、1965年のSCLC-SCOPE計画 ②ユダヤ人が多く住んでいた地元(ボストン、ニューヨーク等の北東部大都市部)での活動として、NSM(北部学生運動)およびユダヤ人労働ブント を取り上げ、参加経験者に対する聞き取り、活動時の日記の分析、その他一次史料(書簡、ノート、本人が撮影した写真等)の分析を行い、調査方法としては、各公民権団体や活動の参加者同窓会・現組織への会合への参与観察を行うほか、ニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジ公民権文書館、ニューヨーク市立大学ションバーグ黒人文化研究センター、ブランダイス大学図書館大学史編纂室等を基点に資料調査を行っている。 2016年度の実績としては、特に①のSCLC-SCOPE計画に関して、元・参加者との面会、聞き取りに関して進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、昨年(2016)3月に出版した著書(南部キリスト教指導者会議=Southern Christian Leadership Conference, SCLC)による「夏季コミュニティ組織および政治教育」(Summer Community Organization and Political Education, SCOPE)計画について)の書評等に時間を取られ、新規の史料の発掘等は叶わなかった。その一方、元参加者に対する聞き取りなどはおこなうことができた。 また、本年度の7月にBritish Association for British Studies、11月にSouthern Jewish Historical Societyにて研究報告をおこなうことが内定しており、海外の研究者からの新たな助言・コメントを受けられるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、計画書にしたがって研究を遂行する。ヴァージニア大学、ウィスコンシン歴史協会、ルーズベルト大学(シカゴ)など、当初計画になかった場所での史料の所在が明らかになりつつあるため、それらの文書館での史料調査を行うことが考えられる。ただし、ルーズベルト大学については、昨年度におとずれた際、マイクロフィルムの破損、マイクロリーダーの不具合により、判読がほとんどできない状態だったため、同図書館に修理・整備の状況を確認する必要がある。また、公民権運動参加者の同窓会等への参与観察、その際の聞き取り調査も引き続き行う。
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Causes of Carryover |
2016年11月の海外出張の旅費の一部が他団体からまかなわれたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の旅費および文献複写費、書籍購入費として使用する。
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Research Products
(2 results)