2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Hansa and Hanseatic Cities after the Decline of the Hansa
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15K02945
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
谷澤 毅 長崎県立大学, 経営学部, 教授 (00288010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハンザ / ハンザ都市 / ドイツ / 港湾都市 / 軍港都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、キールとブレーメンに関する研究を取りまとめた論文を刊行することができた。すでに昨年度予告したように、キールに関する研究は、大豆生田稔編『軍港都市史研究第7巻』(清文堂、2017年)に掲載され、ブレーメンに関する研究は、川分圭子・玉木俊明編『商業と異文化の接触 - 統合される世界の経済』(吉田書店、2017年)に掲載された。研究作業の中心は、19世紀リューベックの都市経済の具体相を把握することに置かれた。そのための予備的作業として、リューベック・ハンブルク間の内陸交易路の整備について成果を得ていたので、それを土台として商業・貿易、人口、工業の面からの考察を加えて啓蒙都市から産業都市への移り変わりの中でリューベックの産業発展を描き出そうとした。その成果は「ハンザ都市リューベックの近代 - 都市経済の概況」、『長崎県立大学論集』第51巻第3号(2017年)に掲載された。 期間全体の研究成果として、まず主要ハンザ都市の産業都市としての発展を確認することができたことが挙げられる。ハンブルクがドイツを代表する大港湾都市へと成長したことは周知のことなので、本研究ではブレーメンとリューベックについて掘り下げるとともに、研究を進める過程でキールをも考察対象とすることにより、軍港都市であるハンザ都市の産業発展の過程をも明らかにすることができた。また、通商ネットワークの発展という点では、ブレーメンの対アメリカ貿易の規模やその意義について明らかにすることができた。アメリカとの関係の中でも、ブレーメンの外港であるブレーマーハーフェンが移民の出発港として極めて重要であったことが確認できた点は、大きな成果であった。さらに、ナショナリズムとハンザ・イメージの継承については、ハンザが19世紀に「再発見」され、とりわけドイツ海軍の海上勢力拡大のために指針となったことを確認することができた。
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Research Products
(3 results)