2016 Fiscal Year Research-status Report
社会的結合と消費文化 - 交換・贈与・社交のネットワークと公共圏を再考する
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15K02948
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
眞嶋 史叙 学習院大学, 経済学部, 教授 (90453498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 裕介 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00635740)
井田 靖子 (菅靖子) 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (20312910)
大橋 里見 専修大学, 文学部, 兼任講師 (40535598)
新井 潤美 上智大学, 文学部, 教授 (70222726)
草光 俊雄 放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 消費文化 / 西洋史 / 社会経済史 / 国際研究者交流 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「社会的結合と消費文化」と題する包括的テーマのもと、「教養と社交と階級形成」「ソーシャビリティと公共圏」「贈与と市場と嗜好形成」の3テーマに分かれ、消費文化史研究会(2008年発足)を構成する研究代表者および研究分担者がチームを組んで研究分担をし、調査分析を進めてきた。2016年度には、国際シンポジウム'History of Consumer Culture: Objects, Desire and Sociability' を開催し、それぞれの調査研究成果のディセミナーションを進めた。国際シンポジウムでの基調講演者としては、消費文化史の世界的な権威であるMaxine Berg(ウォーリック大学)とイギリス文化史の新潮流を担うLawrence Klein(ケンブリッジ大学)を特別に招聘し、かつてなく密な人的国際交流を深めることができた。この2名の海外招聘基調講演者、および消費文化史研究会を代表して基調講演を行なった草光俊雄(研究分担者)の全面的な協力のもと、海外から23名、国内から29名の一般参加者を迎え、新しい消費文化史研究のあり方について活発かつ実質的な議論を重ねることができた。また実際の参加者以外にも海外からの参加希望者は多かったとの報告もあり、History of Consumer Cultureの名がようやく国内外に定着してきたとの実感を得ることもできた。国際シンポジウムでの研究発表と意見交換の成果をさらに深化させるために、国内外の関連学会および研究会との連携を深めつつ研究発表の機会を確保し、消費文化史研究会を構成する既存の研究メンバーのみならず、さらなる国際連携による共同研究を強めていくための基盤づくりにもつながってきている。テーマごとの研究も、他の学会や研究会での発表、書籍等での刊行物によって、広く国内外でのディセミネーションが各自進められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、2016年度末に国内外からの参加者を集めた国際シンポジウムを開催することができた。昨年度時点では、国際公募の募集開始時期がやや遅れてスタートしたため、開催準備が実際に滞りなく進められるかどうか、進展状況に対して若干の懸念があったが、過去2回の開催実績、および著名な基調講演者に惹かれて、かなり多くの応募を受けることとなった。2017年度には引き続き、国際シンポジウムでの発表内容に基づき、コメント等を受けて発表者が加筆修正を施したフルペーパーを掲載するための、プロシーディングスの編集印刷作業を行う。しかしながら、作業分担者が校務や他の研究等により多忙のため、編集印刷作業は2017年度後半に集中することが見込まれる。研究代表者とすべての研究分担者の間の協力体制を見直し、作業負担の分散および効率化を進めることで、全体として巻き返しを図る予定であるため、現時点ではおおむね順調に進展しているということができる。また、今年度は本研究課題ではまだ2年目ということにも関わらず、研究実績が確実に書籍および学術誌への掲載という形で残すことができてきている。地道に進められてきた各テーマごとの調査活動の蓄積が、国際シンポジウム、およびプロシーディングスを含む出版物の刊行へと繋げられてきているため、計画以上に順調に進展してきているとの判断もできよう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上述の通り、国際シンポジウムのプロシーディングスを編集印刷製本して、国際シンポジウム参加者および他の関連研究者に送付することで、ディセミナーションの計画を完了させることが至上課題である。過去2回の国際シンポジウムに続き、国際的に著名な研究者を招聘することができたため、また消費文化史研究会発足より過去9カ年の研究蓄積を総括することを目指して、これまで以上に研究メンバーの総力を結集することができたため、国際シンポジウム自体を成功裏に収めることができた。この力を引き続き、プロシーディングスの編集に向けて、集中させていきたいと考える。さらに、本研究最終年度である2017年度には、国際シンポジウムでの3名の基調講演者、および一般発表者の中で特に顕著な研究成果を示すものに、書き下ろし論文の提供を依頼し、また前回・前々回の国際シポジウムでの5名の基調講演者にも協力を仰ぎ、英文アンソロジーとして翻訳編集したうえで、国内外の研究者や大学生、一般読者を想定した英文解説を付し、出版することを企画している。それと平行して、それぞれの研究成果が広く国内外でデセミネートされるよう、研究テーマごとに論文および書籍等の執筆を進め、刊行物の出版による実績を確実に残せるよう全力をあげていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
2016年度末に開催した国際シンポジウムの成果として、プロシーディングスの刊行を計画していたが、2016年度中に編集印刷製本の作業ができないことが分かったため、刊行計画を本研究最終年度の2017年度に延期することとした。また、研究調査のための渡航を計画しつつも、2015年度中に実行できなかった研究代表者、および2016年度中に実行できなかった研究分担者は、2017年度に研究調査のための渡航を延期し、その成果をプロシーディングスおよびその他雑誌論文、書籍等の形でアウトプットすることにしている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者配分金に関する繰り越し分は、2017年度に研究調査のための渡航費用、および国際シンポジウムプロシーディングスの関連経費に使用する予定である。 研究分担者配分金に関する繰り越し分は、2017年度に各自の支出計画に基づいて使用される予定である。
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Remarks |
2017年3月開催の国際シンポジムで発表された全報告の要約を掲載。
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Research Products
(14 results)