2015 Fiscal Year Research-status Report
1960年代米英ニューレフトの環大西洋的交流とその影響に関する歴史研究
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15K02959
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
梅崎 透 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (30401219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ史 / イギリス史 / ニューレフト / 1960年代 / ベトナム反戦運動 / カウンター・カルチャー / 学生運動 / 環大西洋知識人交流史 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 2015年7月に、ミネルヴァ書房より西田慎氏(奈良教育大学准教授)と共編で、『グローバルヒストリーとしての「1968年」』を刊行した。序章を含め15章中、2章(「序章 なぜ今1968年なのか」「新左翼の台頭」)を西田氏と共に、2章(「ベトナム戦争の余波」「アメリカ――運動の盛衰と文化変容」)を単独で執筆した。本書は、「1968年」の歴史的意義をグローバルな視点から論じるもので、各国史の専門家11名が携わる、研究史上画期的な出版物となった。 ② 2015年12月12日に、明治大学で行われた、日本アメリカ史学会第34回例会において、『グローバルヒストリーとしての「1968年」』(ミネルヴァ書房、2015年)の書評会が開催され、編著者として研究・執筆の意図と経緯を発表し、その成果を議論した。 ③ 2016年3月13日から7泊9日でイギリスでの史料調査を行った。ロンドンのMay Day Rooms、チェルトナムのPlanned Environment Therpy Trustの二つのコミュニティ・アーカイブと、ロンドンのキングス・カレッジ文書館にて、1967年にロンドンで開催されたニューレフトの国際会議「解放の弁証法」に関する史料を収集した。 ④ ニューレフトのアンダーグランド出版物であるRamparts Magazine (California, 1962-1975)をマイクロ資料として購入し、調査、分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 予定通り、これまでの成果が共編著書として出版できたことは、大きな成果であった。 ② 当初、2015年8月から9月にかけてアメリカ合衆国への調査旅行を予定していたが、スケジュールの関係で実行を断念した。図書やマイクロ資料の購入、ならびにオンラインでの史料調査にてこれを代替した。2016年3月のイギリスへの調査旅行は予定通り実施し、貴重な史料を収集することができた。 ③ また、調査を通じて、関心を共有する海外の研究者との貴重な情報交換ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に沿って、1960年代のアメリカの政治・文化的ラディカリズムが大西洋を越えてイギリスのニューレフト運動とどのように共鳴し、相互に影響を与えたのか、史料調査および分析を進める。 平成28年度はとくに、イギリスの「バートランド・ラッセル平和財団」において活躍したアメリカ人ニューレフト活動家を手がかりに、1960年代の米英知識人ネットワークの形成過程を詳らかにすることを目指す。実証分析がまとまった部分から、論文として執筆する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたアメリカ合衆国への調査旅行を断念し、日本にいながらの史料収集に変更したため、9万円程度の繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は、平成28年度の予定の物品費(図書購入等)あるいは、調査旅行費に充てる。
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