2017 Fiscal Year Research-status Report
1960年代米英ニューレフトの環大西洋的交流とその影響に関する歴史研究
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15K02959
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
梅崎 透 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (30401219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ / ニューレフト / 環大西洋 / ベトナム反戦 / 1968 / 60年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
①2016年度後期から2年間の契約を結んだデータベースThe Sixties: Primary Documents and Personal Narratives, 1960 to 1974 (Alexander Street, ProQuest Company)を利用して、ニューレフトやカウンターカルチャーの史料調査を行った。②2018年3月11日から23日にかけて、アメリカ合衆国での調査を行った。ニューヨーク大学タミメント・ライブラリでは、戦争犯罪国際法廷の記録史料を、フィラデルフィア郊外のスワースモア大学ピース・ライブラリでは、ベトナム戦争終結のための動員委員会(MOBE)の史料を収集し、大西洋をまたいだベトナム反戦運動の展開の詳細を分析した。③アメリカ学会2017年大会(6月3日、早稲田大学)にて、これまでの成果を英語で口頭発表した。④グローバルな歴史学の展開について論じた、キャロル・グラック「転回するグローバル・ターン」を訳出し、『思想』2018年3月号に掲載した。⑤1968年から69年にニューヨークでおこったコロンビア大学とニューヨーク市立大学での学生ストライキを比較した論文を執筆し、島村輝・小ヶ谷千穂・渡辺信二編『すこしだけ「政治」を考えよう!ーー若者が変える社会』(松柏社、2018年)に発表した。⑥国際的ベトナム反戦運動に対するアメリカ国内の反応を、アメリカ例外主義の文脈から分析する論考を執筆し、『思想』2018年5月号に発表した。同誌上では、日本とドイツの1968年研究者との鼎談も行った。⑦1968年4月のコロンビア大学ストライキに際して、大学知識人がとった反応がその後の学知にいかなる影響を与えたかを分析し、アメリカ学会『アメリカ研究』52号(2018年3月)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① データベースおよび現地での史料調査によって、英米のニューレフトおよび1960年代の連関の詳細な分析が進んだ。 ② 研究成果を、口頭発表および論文として複数発表できたことは、大きな成果であった。 ③ 調査を通じて、関心を共有する内外の研究者との交流が図れた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、本プロジェクトの最終年度に当たる。これまでの研究を総括し、今後の研究の発展を図ることを目的として、2018年秋にシンポジウムを開催予定である。社会学、歴史学、科学、環境、平和など「1968年」が現在の社会に与えた影響を多方面から検証し、68年後の社会発展を分析する枠組みの構築を目指す。そこから、2019年度以降のプロジェクトを構想する。その成果を雑誌等の特集記事として発表することを考えている。
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Causes of Carryover |
2018年度は本プロジェクト最終年度に当たる。総括のためのシンポジウムの開催を予定しており、その招聘費用補填をみこして、次年度使用額が生じた。
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