2016 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパ中世都市リモージュの宗教組織のメディア戦略の進化についての研究
| Project/Area Number |
15K02960
|
|---|
| Research Institution | Aichi University |
|---|
Principal Investigator |
小野 賢一 愛知大学, 文学部, 准教授 (30739678)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
| Keywords | ヨーロッパ中世史 / 教会史 / 修道院 / 聖人伝 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
研究成果の発表に向けて、夏にパリの国際大学都市に約1か月間滞在し、フランス国立図書館リシュリュー館の写本室、マイクロフィルム室、ソルボンヌ大学図書館において、サン・マルシアル修道院改革文書、サン・レオナール・ド・ノブラ聖堂参事会改革文書を中心とするヨーロッパ中世教会史資料の調査収集解析を行った。
また自らの研究の経過報告を行うために、愛知大学人文社会学研究所ワークショップを企画運営し、他の専門分野の方にも理解してもらえるように、広い視点から研究状況を整理した。初年度の教皇庁立グレゴリアン大学、ウルバニアーナ大学における在外研究中の成果としてローマ教皇庁列聖省の専門委員会申請者代理人postulator de la canonisationに就任した連携研究者から助言を受けるために、札幌で開催されたキリスト教史学会大会及び藤女子大学キリスト教文化研究所例会において夏の在外研究の研究成果を報告し、後日同研究所で改めて質疑応答を行う機会を設け、今後の研究課題を抽出した。またサン・マルシアル修道院側の『聖マルシアル伝』とサン・レオナール・ド・ノブラ聖堂参事会側の『聖レオナール伝』の前半部分を比較した。さらに『聖マルシアル伝』改編に影響を与えた『聖ヴァレリア伝』と『聖レオナール伝』と親和性を有する『聖ゴーシェ伝』を入手し、中世リムーザン聖人伝のコーパスの全体像を把握したうえで研究を深めるべく、共同研究者と比較検討を行った。
中世教皇庁研究の全体像と論点を総括したレポートとサン・レオナール・ド・ノブラ聖堂参事会改革文書を解析した学術論文において本研究の途中経過をまとめた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在外研究でサン・マルシアル修道院改革文書、サン・レオナール・ド・ノブラ聖堂参事会改革文書などのヨーロッパ中世教会史資料の調査収集解析を行い、在外研究の研究成果を二つの研究会で報告し、学術論文にまとめることができた。共同研究において既存の問題点を解決するとともに、新たな問題点を見出したため、達成度はおおむね順調だと判断できる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
『聖マルシアル伝』と『聖レオナール伝』の前半部分について共同研究者とすでに質疑応答と比較検討を繰り返している。本年度はその後半部分の比較検討を行い、学会及び学術論文で研究成果を公表したい。また修道院改革文書の研究についても学会及び学術論文で研究成果を公表したい。
昨年中世教皇庁研究について行ったように、本研究を広い視点で位置付けるために中世修道院研究の全体像と論点を総括したレポートをまとめ、発表する予定である。
本年度は「新しいヨーロッパ中世の教会像（仮）」という趣旨で愛知大学人文社会学研究所ワークショップを企画運営し、他の専門の方にも門戸を開き、広く研究成果を公表する予定である。昨年度と本年度の同研究所ワークショップの研究成果を、研究報告書として公刊すべく準備をすすめている。
|
| Causes of Carryover |
平成28年8月4日～8月30日にかけて西欧中世教会史資料の調査収集分析のためにパリに在外研究に出かけたときにパリ国際大学都市に滞在できたために宿泊費を削減できた。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
西欧中世教会史資料の共同研究をより効果的に推進するために、平成29年8月4日～8月12日にかけての連携研究者のパリ滞在費に使用される。
|
