2016 Fiscal Year Research-status Report
12世紀イングランドとノルマンディの貴族間ネットワーク
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15K02961
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
轟木 敦子 (中村敦子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (00413782)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アングロ・ノルマン / 貴族 / 中世史 / イングランド / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、本研究課題の中心となる有力アングロ・ノルマン貴族であるチェスター伯家の動向のうち、昨年度から継続しているノルマン征服以前のチェスター伯家の西部ノルマンディでの活動を論考にまとめる一方、ノルマン征服後に彼らがイングランドへ進出した後の、とくにウェールズへの進出活動についての研究という2点を中心に行った。 まず、ノルマンディでの活動については、昨年度西欧中世史研究会で口頭発表したものを土台に、M.Hagger, P. Bauduin, E. Van Torhoudtらの最新の研究成果を統合して領邦ノルマンディとその周辺勢力との関係を、ノルマンディ公、フランス王でなく地方貴族の立場から検討して論考にまとめた。11世紀のノルマンディに関しては、イングランド、フランス双方の研究者の交流が進み、非常に研究が活発になっており近年の研究成果もめざましい分野である。ただし、筆者の今年度の論考ではノルマン征服後の状況は検討できておらず、ノルマン征服後のノルマンディでの活動を含めた総合的な研究は今後の課題となった。また、ウェールズでの活動については、その前提となる中世ウェールズ史の研究動向をまとめたうえで、数世代にわたるチェスター伯家のウェールズへの進出の動きを確認した。その成果は、2016年9月に中近世ヨーロッパ史研究会で報告することができた。一方、中世ウェールズ史研究とイングランド史それぞれの研究動向の違いを統合したうえでウェールズ境界領域をとらえ、チェスター伯家の支配をその中にどのように位置付けるかという課題が残った。 また、2016年度夏には渡英してThe Institute of Historical Researchを中心に集中して史料調査を行うことができたが、渡仏しての史料調査ができず、フランス・ノルマンディに残る史料の検討は次回以降を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究は関連する研究書・文献の新刊の把握が中心になってしまっており、残念ながら証書史料の調査において、予定ほど新旧の証書史料の編集状況の調査や、インターネット上で検討できる証書史料の状況把握が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたほど研究が進捗できていないが、研究方法、計画に関しては大幅な変更は必要ないと考えている。一方、実際に検討調査する証書史料については、現実的問題としてある程度しぼりこまなければならないが、刊行史料の収集や文献調査の対象としては、研究課題である12世紀を中心に11,13世紀といったその前後をより広く視野にいれることで、逆に12世紀の特質が浮かび上がる可能性を考えるようになったため、検討収集の幅は広げていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた資料調査のための出張が計画していたほど実施できなかったため、その分を研究書や関連文献の収集にあてたが、最終的に一部繰り越すことになったものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、資料収集費とこれまでに完成できずに延長している英語論文の校閲費として主に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)