2019 Fiscal Year Annual Research Report
Aristocratic networks in England and Normandy in the twelfth century
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15K02961
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
轟木 敦子 (中村敦子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (00413782)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アングロ・ノルマン / 貴族 / 中世ヨーロッパ史 / イングランド / ウェールズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究者は、これまでアングロ・ノルマン期貴族たちの具体的な政治活動をたどり、それをアングロ・ノルマン王国全体の中で、長期的な変化を伴ったダイナミズムとして位置づけることを目的として研究を進めてきた。中心としているのは、ノルマンディに拠点をもち、ノルマン征服後イングランドに進出し、イングランドにもノルマンディにも広大な領地を保有していたチェスター伯家系である。 今年度の研究成果として2点をあげる。1点目は、チェスター伯家の所領と境界を接するウェールズ地方とチェスター伯との関係である。2点目は、中世ヨーロッパの中心的な行政資料である証書資料についての研究である。 1点目のウェールズ境界地方とチェスター伯の研究は、昨年の継承である。チェスター伯家のイングランド所領の拠点のひとつであるチェシャーは北部ウェールズとの境界地域に広がっており、この地域は中南部ウェールズ境界地域に比較し研究が少ない。ノルマン征服後初期のチェスター伯となったヒューの時代については昨年まとめ、今年度は12世紀半ばのレナルフの時代のウェールズとの関係を扱い、近日中に脱稿予定である。2点目の証書研究では、中世イングランドの証書資料がどのように利用されてきたかを整理した。中世貴族たちの行動は、王や高位聖職者などとは異なり、当時の年代記作者などの叙述の対象となりにくく、行政文書である証書資料が中心資料となる。証書資料を土台とした研究は19世紀末にようやく発展し始めた。本研究では、その後の歴史資料全体の利用方法や解釈の変化を踏まえて、史料論の展開を背景に、中世イングランド証書の歴史研究における利用のされ方をまとめた。その成果は、2019年7月28日に大阪大学で行われた前近代におけるメディアとコミュニケーション研究会で報告した。
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Remarks |
松下憲一、菊池一隆、小林隆夫、中村敦子著『大学世界史の扉』あるむ(2019)、朝治啓三監訳『紋章学辞典』創元社、2019年、原著S. Slater, The Illustrated Book of Heraldry (London, 2013)、第5章。
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