2016 Fiscal Year Research-status Report
イギリス帝国と近代日本―帝国的諸事業・思想の越境的伝搬と展開
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15K02966
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
吉村 真美 (森本真美) 神戸女子大学, 文学部, 教授 (80263177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 葉子 (並河葉子) 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295743)
水谷 智 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (90411074)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 帝国史 / イギリス / 日本 / 文化研究 / 教育 / 植民地統治 / 社会福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、イギリスの帝国理念や、この理念を反映した諸制度および諸事業が、帝国としての境界を超越して広範な地理的領域に伝搬した歴史的事象のうち、近代日本において展開を見た諸事例に注目している。「越境する帝国」というこの異帝国間伝搬のメカニズムを、日英両国の同時代資料の分析によって解明することで、イギリス帝国史研究に新たな視覚を提示することを最終的な目的としている。 3カ年計画の2年目にあたる平成28年度には、個々の分担研究について、後掲のように国内外の学術雑誌への論文掲載2件を成果として公表するとともに、メンバー各自の分担領域の史料収集とその分析を中心に基礎研究を進めた。同時に課題全体の成果の総括に向けて、29年度に主催する日英帝国史の公開シンポジウム「<はざま>から再考する帝国史(Rethinking Imperial Histories from the Realm of in-between)」にむけて、分担研究をふまえたメンバーによる個別研究報告を含めた研究発表会(29年3月)を行うなど、その準備に注力した。同シンポジウムは駒込武氏の日本帝国統治下の台湾における高等教育研究を糸口に、メンバーがそれぞれの専門的立場から、日本帝国史およびイギリス帝国史をむすぶ異帝国間伝搬の事例研究としての新たな視角を提示しようとするものである。 また、課題のテーマをさらなる展開にむすびつく、ジェンダー、教育、家族の日英間比較等に関連する共同新規プロジェクト「近代化・女性・家族」の企画にも加わり、海外研究者を招聘した国際シンポジウムの開催にむけての準備作業を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の総括となる公開シンポジウムにむけて、「植民地教育」を全体テーマとして選定した。日本帝国の台湾における教育と統治を、イギリス帝国の植民地教育と多角的に比較検証するものである。このテーマにむけて各メンバーの個別研究を進めるとともに、それぞれの視点からの報告を行い議論することで、日本史、教育史をはじめとするイギリス史以外の領域の研究者との学際的検討にむけての準備を順調に進めた。 また、テーマの発展を受けて、29年度には他のプロジェクトとの主催および共催で、国際シンポジウムを開催することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の29年度には本課題研究の総括となる日英帝国史の公開シンポジウムを開催する。並河はアジア世界の女子教育のネットワーク構築によるプロテスタント・ミッション主導の女子高等教育の導入が、日本やインドの西欧化に際して与えた社会的インパクトについて、森本は少年向け読み物や少年団運動などを通じた、学校教育外の日常生活世界における帝国イメージの形成・教示および流布について、そして水谷はこれらの分担研究もふまえ、植民地教育をめぐってイギリス帝国と日本帝国がどのような関係にあったかについて、事業・思想の越境的伝搬と展開というの観点から総括的な考察に取り組む。 また、イギリス史の海外研究者を招聘した国際シンポジウム2回を主催、2回を共催し、ジェンダーや社会政策事業についての日英の歴史的比較にあたり、本課題の異帝国間伝搬という視点からの考察を提言する予定である。
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Causes of Carryover |
28年度の研究活動の結果、最終年度の29年度における国際シンポジウムやセミナーが新たに複数企画された。物品・謝金はその機会に充当することがより効果的であると判断したものについて、また研究調査の旅費についても29年度に追加調査が必要となる可能性を見越して、次年度に使用予定額の一部を回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度には、主催・共催合わせて5回(4月、6月、10月)のシンポジウムを開催する予定となっている。平成29年度の配分額130万円は、研究文献の購入等の関係諸費を含め、大部分をこのシンポジウムの経費に充当する。平成28年度分からの繰り越し額約127万円については、29年冬以降に当初予定していた海外資料調査を実施する。この際、29年秋までのシンポジウムにおける国内外の研究者との意見交換や知見提供を反映させて、調査のより一層の効率化と課題としての最終成果の充実、発展をはかりたいと考えている。
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Research Products
(2 results)