2017 Fiscal Year Research-status Report
小規模島嶼部における先史・原史時代文化適応の考古学的研究
Project/Area Number |
15K02984
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新里 貴之 鹿児島大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教 (40325759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トカラ列島 / 中之島 / 地主神社敷地内 / 弥生時代~中世初頭 / 宝島 / 縄文時代中期 / 貝刃 / 大型動物解体場所 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,4月末~5月初頭にかけて宝島大池発掘調査を実施した。目的はトカラ列島中のサンゴ礁環境にある島における食性の把握である。発掘では縄文時代中期並行の土器,石器類を確認し,炉を検出した。サンゴ礁域の魚類を主体とする脊椎動物遺体,ヤコウガイやシャコガイ類を主とするサンゴ礁域の大型貝類遺体がかなりの数で出土した。植物遺体は少ないと見られる。また,同時期と考えられるウミガメやイノシシの解体場所を特定した。イノシシは宝島に現存しておらず,外部からの持込みが考えられる。ほかにも,現在生息していない熱帯地方産のマスオガイ類を利用した有孔貝刃が確認され,また,良質の石英剥片が多数出土した。弥生時代の遺物出土を目的としてトレンチを設定したが,確認することはできなかった。現在も地表面に石棺墓が露出しているが,底石下の一部を掘削し,南島特有の重層構造をもつか否か確認調査を実施したが,単層構造であることが判明した。 日本考古学協会第83回総会研究発表では,平成27年度に発掘調査を実施した中之島地主神社敷地内(ミヤズラ・ミヤズワ遺跡)出土遺物の特性について発表を行なった。同遺跡では弥生時代において九州北部,九州中部,九州南部,大隅諸島(種子島・屋久島が主),奄美諸島の土器が混在して出土しており,小規模島嶼ながらもその広域交流が存在したことが判明した。さらに,古代の段階には土師器・須恵器・越州窯系青磁が出土し,中世初頭には越州窯系青磁水注という南島においては極めて稀な遺物も出土した。これらの遺物からはトカラ列島もまた南北交通の要衝として位置づけられていたことを示している。その概要は沖縄考古学会の『南島考古だより』106号にも掲載した。ほかにも奄美・沖縄諸島の貝塚時代後期土器,トカラ列島考古学調査を始めて実施した人類学者,奄美諸島の先史時代の概要について,それぞれ発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は順調に進んでいるが,年度計画に予定していなかった県外出張業務がはいり,報告書作成期間が不足し,期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
予定を繰り越した調査報告書(歴史時代編)を作成・刊行する。
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Causes of Carryover |
当初は,年度末に調査報告書作成費として計上していたが,年度計画になかった県外出張業務が約2ヶ月にわたって生じ,その間の報告書作成期間がなくなってしまい,報告書作成費を次年度に繰り越したため,次年度使用額が生じた。
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Research Products
(11 results)