2017 Fiscal Year Annual Research Report
Archaological studies on the formation and development of blown-glazed stoneware industry in pre-modern Southeast Asia
Project/Area Number |
15K02991
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (60513546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クメール陶器 / 黒褐釉陶器 / 横焔式地上窯 / 東南アジア窯業史 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の予想以上の調査進捗状況をうけ、ヴィール・コック・トレ窯の本格的な発掘調査を実施した。昨年度の調査により、東北タイのクメール陶器窯と同様の焼成室構造をもつことが明らかになっているが、窯体構造理解のために一番重要な燃焼室の確認・検出ができていないため、2017年度は再度発掘調査を行い、完掘した。これを発掘した。 確認された窯壁をもとに、窯体プラン全形の把握と、焼成室と燃焼室の精査を行った。調査の結果、細長い単室の横焔式窯であることが判明した。燃焼室については、昨年度に側壁の立ち上がりでプランはある程度判明しているものの、燃焼室と焼成室の間にあると考えられる障壁や焚口などについて不明瞭であったため、これを重点的に調査した。調査の結果明らかになった燃焼室の構造は、通風口を2口もちながらも、これまでの窯体構造とことなり、燃焼室と焼成室の障壁が明瞭ではなかった。 出土遺物の図化、写真撮影、データベース化も行い、東北タイ窯および製品と比較したところ、同じ黒褐釉の製品でありながら、両者には明瞭な際があり、カンボジアのものはよりコンテナー陶器に特化した生産であることが明らかとなった。また、窯体構造については、従来の仮説である、先行する灰釉陶器窯から派生したとの考えを補強するデータが得られたが、障壁の有無の検討やその機能解明など、あらたな課題も浮上した。また、、これまでシンガポール大と現地研究者の混成チームが主張してきたような「サイド・ストーキング・ポート」と呼ばれる付帯施設を持たないことは確実になり、混成チームの誤認が疑われる状況になってきた。現在、これについては国際会議で論争中である。
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