2019 Fiscal Year Annual Research Report
Archaeological study of the political structure in the early dynasties of China: From the perspective of spatial composition and GIS analysis
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15K02993
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
西江 清高 南山大学, 人文学部, 教授 (10319288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中国初期王朝 / 考古学GIS / 国家形成 / 地域研究 / 西周 / 黄河 / 関中平原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紀元前二千年紀の黄河流域に出現した初期国家を対象に、その政治的空間の成り立ちを、考古学の視点から研究するものである。2019年度は全5年計画の最終年度となった。研究の1~4年目では、考古学GISの方法によって「黄河中流域考古学データマップ」の構築をすすめ、このデータベースにもとづいて、初期国家(「夏」王朝、殷王朝、西周王朝)の政治的空間を分析した。その過程で本研究の焦点はしだいに渭河流域(関中平原)に集中することとなり、この地域で誕生した西周王朝の形成過程と西周国家の空間構成について集中的な分析と現地調査を進めた。その成果は2018年度末に『西周王朝の形成と関中平原』(同成社、2019.3)として結実させた。そこでは西周王朝成立前後の関中平原の地理的基礎と遺跡分布の解析から浮かび上がる王都(都城圏)の成り立ちについて新たな見方を提唱することができた。最終年度はこの成果をうけて、「黄河中流域考古学データマップ」の続編となる「黄河下流域考古学データマップ」(山東省)を作成し(2018年度末に初歩的に完成)、それにもとづいて黄河下流域の古代社会と文化に関する空間分析(地域研究)を試み、黄河下流域に関する考古学GIS論文の準備を進めたが、公刊には至らなかった。一方、本研究はもともと中国初期王朝(中原王朝)の中心地域に重点をおくものであったが、中原王朝の空間的構成を理解するためには、黄河流域の「畿内的地域」を離れた中原王朝遠隔地の「外域」にも注目する必要性があることを強く認識するに至った。そこで本研究最終年度においては、本研究の延長上にある新たな研究への予察をかねて、中原王朝の南方に展開した「外域」の諸地域に注目した。手始めとして広東省、福建省の両省に関する「考古学データマップ」の作成を進め、すでに初歩的なGIS基盤地図を得ている。
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