2017 Fiscal Year Research-status Report
オーストリアにおける地域計画と中小都市の存立構造に関する地理学的研究
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15K03009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川田 力 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (30263643)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オーストリア / 都市 / 地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年のグローバルな都市間競争を念頭にしたオーストリアの地域計画において、広域連携に基づく地域再編プログラムが実施される中で、中小都市がいかに持続的に発展しているのかを各都市の都市マネジメント戦略と関係づけて検討することにある。 本年度は、オーストリアを訪問し、これまでに実施した情報収集結果に基づき構築した現地調査実施プログラムにもとづき、クラーゲンフルト市において、クラーゲンフルト市の社会経済状況、都市計画、国際的都市間競争・持続的な発展への対応、都市計画と都市経営に関する地方行政組織の構造と実態、および、開発計画地区内の住民意識についての現地調査を実施した。 その結果、①クラーゲンフルト市は、最近10年間で約4%の人口増加を示し、今後10年間にも約3%の人口増が予測されている。しかし、人口増の約3分の2が外国人の流入によるもので、高齢化の進展も見込まれていること。②クラーゲンフルト市内の地区別の人口動態に差異がみられ、都心部では最近10年間で5%を超える人口減がみられた一方、郊外部では人口増が顕著にみられること。③クラーゲンフルト市は持続可能な都市開発として、都心隣接地区での再開発計画を有しており、この計画は、中心性の強化、近距離移動、エネルギー効率、省資源を目途としていること。④行政側が掲げる持続可能な都市開発の実現には、行政側がその必要条件と考えている国際的都市間競争力の強化とそれを支える住民の生活の質の向上に関する市民意識の動向が鍵を握ること、を明らかにしたことが本年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)研究代表者が、本年度より岡山大学教育学部附属中学校長を併任することとなり多忙となったため、当初の研究計画が遅延していることによる。 本年度当初の研究計画では、(1)クラーゲンフルト市での事例調査の実施準備、(2)クラーゲンフルト市での事例調査の実施、(3)最終結果の取りまとめと補足調査の実施、を予定していたが、今年度中には(1)と(2)のみの実施にとどまり、最終結果の取りまとめに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の計画で研究を進める。 (1)現地調査結果の分析:事例都市におけるこれまでの調査結果をとりまとめるとともに、都市特性に関する統計データを入手し必要な情報の地図化処理を加え、中小都市の存立構造の地域的差異およびその要因と他地域への波及効果について分析する。 (2)補足調査の実施:現地調査結果の分析の過程で明らかになった中小都市の存立構造の地域的差異の要因とその波及効果に関する不足資料を追加収集するために、事例調査都市において補足調査を実施する。 (3)最終結果の取りまとめと最終報告:最終的な研究結果をとりまとめて国内学会で報告する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究代表者が、本年度より岡山大学教育学部附属中学校長を併任することとなり、本年度は着任初年度にあたり極めて多忙であったため、当初の研究計画が遅延していることによる。次年度は計画的に校長職を実施することが可能となるため、当初計画を遂行し、研究を完了できる見込である。 (使用計画)次年度の研究経費の主な使用計画は以下のとおりである。(1)オーストリアの都市特性を分析するために、都市特性に関する統計データへの定期アクセス権を購入する。(2)オーストリアの地域計画関係図書を精査し、必要な図書を購入する。(3)ウィーン市およびグラーツ市で補足調査を実施する。
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