2015 Fiscal Year Research-status Report
通勤・消費行動からみた大都市圏外縁部の変容に関する研究
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15K03027
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
稲垣 稜 奈良大学, 文学部, 准教授 (20378821)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大都市圏 / 郊外 / 通勤行動 / 消費行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、大都市圏における通勤行動、消費行動に関する文献を収集した。通勤行動に関する文献は、主として地理学において豊富な研究蓄積があるため、その分野を中心に文献を収集し、補足的に隣接領域の研究も収集した。消費行動については、地理学、経済学などの消費者行動研究に関する文献を中心に収集した。さらに、近年大きな課題となっている買い物難民やフードデザート問題に関する研究も取り上げることとした。これらの問題は、学術レベルのみならず、行政上も重要な課題となっている。そのため、自治体が取り組んでいる買い物難民対策、フードデザート対策に関する報告なども収集対象とした。 第二に、通勤行動、消費行動に関する統計資料を収集した。通勤行動に関しては、奈良県内を中心に大阪大都市圏のいくつかの都市の国勢調査データを収集した。また、大阪大都市圏の通勤圏を設定した上で、内部郊外、大都市圏外縁部などの地域区分を行い、地域区分ごとの通勤流動特性を検討した。消費行動に関しては、各自治体が実施している消費者行動調査の報告書を収集した。 第三に、消費行動における観光行動の比重が高まっている実態をふまえ、観光行動に関するデータの収集を行った。特に、奈良市をはじめとする有力な観光地のフィールド調査を実施し、その詳細を考察した。 第四に、来年度に計画しているアンケート調査の設計を行った。郊外(大都市圏外縁部)の住宅地域を対象とするため、調査にふさわしい住宅地を検討した。さらに、アンケート調査項目や調査対象者について吟味し、調査票を作成した。今後は、この調査票を配付、回収に取りかかる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本格的なアンケート調査を、平成28年度中に実施する予定であり、平成27年度は、そのための準備にとりかかった。具体的には、既存文献において消費行動の現状と課題を明らかにするとともに、郊外地域における問題点について整理した。その上で、アンケート調査対象地域をほぼ選定するまでに至っている。さらに、調査票の作成にあたって、他の自治体等のアンケート調査を収集し参考にするなどの準備も行った。対象者の範囲についても、いくつかの同種のアンケートを参考に選定した。以上から、アンケート調査の作成までをほぼ終えており、ほぼ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、郊外住宅地において、特に消費行動に重きを置いたアンケート調査を実施する予定である。もちろん、消費行動に限定するのではなく、通勤行動などほかの行動との関連も視野に入れているので、こうした指標についても調査の範囲としたい。このアンケート調査で得られた結果をもとに、大都市圏郊外における日常生活行動の実態を明確にする。ここで得られた結果をふまえ、同様の行動が他地域においてもみられるのか否か、もし異なるとすれば、どのような背景要因が考えられるのかなどを検討する必要が出てくる。そのため、都市の内部や外縁部などの地域においても同様の調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
アンケート集計のためのパソコンソフトについて、当該科研費で研究を行う以前に購入歴のあったソフトを購入したため、新規購入ではなく追加ライセンスで購入できた。そのため、当初の想定金額よりも低価での購入となった。また、小売業に関する高価な書籍について、本学図書館の所蔵資料を利用するなどの対応が可能であったため、その分の支出も少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に実施予定のアンケート調査について、事前の準備がスムーズにすすんでいるため、当初の想定以上に回収率が高まる可能性がある。そのため運搬費が当初より上昇すると考えられるが、その分を、今年度抑えられた支出額で埋め合わせする予定である。
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Research Products
(2 results)