2017 Fiscal Year Research-status Report
地方自治体における人類学的調査を通じた日本における人口問題の多角的分析
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15K03031
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小谷 真吾 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90375600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
末吉 秀二 吉備国際大学, 地域創成農学部, 教授 (80330629)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人口問題 / 勝浦市 / 南あわじ市 / 民族誌 / ソーシャルキャピタル / 買い物環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人口減少および少子高齢化に代表される日本における「人口問題」を人類学的に研究するための理論的、方法論的枠組みを確立することを目的とする。主な対象地域は、兵庫県南あわじ市、および千葉県勝浦市とする。両地域において、長期のフィールドワークにもとづいたミクロな民族誌的記述を行なうことによって、「人口問題」の日常における問題性、および問題の社会文化的背景を明らかにする。同時に、人口統計、社会経済的状況、およびフィールドデータに対して、地理情報システムなどを用いたマクロな人口学的定量を行い、「人口問題」を扱ってきた従来の人口学的研究との翻訳可能性を維持する。 平成29年度は、平成28年度に実施した勝浦市の調査を踏襲する形で、南あわじ市において調査票調査を併用しながら、「人口問題」にかんする民族誌的データを収集した。ソーシャルキャピタルを定量化するようにデザインした調査票の有効性が勝浦市において明らかになっていたことを踏まえて、同様のデザインを南あわじ市においても適用した。また、南あわじ市役所など行政機関の協力を得て各種統計資料を収集し、人口減少および少子高齢化の進行状況について把握することに努めた。その過程で、出生率、死亡率等の人口学的指標の将来推計を作成した。 以上の調査によって収集したデータの分析は、平成30年度に引きついで行っていくが、ソーシャルキャピタル、買い物環境、人口推計の結果について分析が完了したトピックについては、第82回日本健康学会において代表者、および分担者が発表し、研究成果の発信を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において、平成29年度は全ての調査を完了し、データ分析を終え、研究成果をまとめ上げることを目標としていた。調査、およびデータ分析はほぼ完遂できたと言える。また研究成果発表も、学会発表という形で一応の目標を達成できた。一方、行政各機関、およびインフォーマントとの協力が予想以上に良好に推移したため、当初の計画以上のデータを得ることになった。そのため、研究成果発表という意味では、論文の投稿、協力者、協力機関への情報の還元が十分であったとは言い難い。本研究は当初3年間の計画であったが、1年間の延長を申請し、平成30年度においては研究成果の十分な発表につとめる計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初3年間の計画であったが、1年間の延長を申請し、平成30年度においては研究成果の十分な発表につとめる計画である。平成29年度における学会発表で得られたコメント等を基に、人類学的方法および理論を「人口問題」を扱ってきた従来の人口学的研究に接続していく際に必要な工夫を検討していく。具体的には、人口学、社会疫学系の雑誌に論文を投稿し、査読を経ることで、どのようなエビデンスの提示と議論の展開がディシプリンの相違を乗り越えていけるのかを検討していく。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトは、千葉県勝浦市及び兵庫県南あわじ市においてアンケートおよびインタビュー調査を行うことによって目的を達成する計画であるが、両市において行政の協力が予想以上にスムーズに得られたためアンケート調査のサンプル数が当初の計画を上回った。アンケート調査のデータ分析を引き続き実施し、その結果を踏まえた学会発表、論文投稿を平成30年度行う計画である。
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