2016 Fiscal Year Research-status Report
現代インドの村落・都市中間地帯における親密圏の再編―移動社会を支えるケア関係
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15K03040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
常田 夕美子 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (30452444)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インド / ラーバン / ケア / 女性 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代インドにおいて拡大しつつある、村落・都市中間地帯(rurban, 以下ラーバン)において、新たなケア関係がいかに作られているかを明らかにするために、親子関係について調査研究をした。4月上旬から7月下旬、9月下旬から1月下旬、3月中旬から3月下旬は、国内で関連文献を収集し、読解を進めた。8月上旬から9月中旬、2月上旬から3月上旬は、インド・オディシャー州のラーバン地域モトリ、モンダラバスタ及びプリー市においてフィールドワークを行い、さらに、ゴロマニトリ村、ブバネーシュワル市、プリー市それぞれの住民、ボダバサンタ村出身で現在モトリやプリー市在住の女性たちに聞き取り調査を行った。具体的には、誰が誰ともののやりとりをし、誰が誰の料理、掃除、身の回りの世話をしており、ケアに関する人びとの関係性についての新たな語り方について聞き取りをした。そこで明らかになったのは、村落出身で現在ラーバンあるいは都市部に住んでいる40代の女性たちが、自分たちの幼少時代と比べて親子関係が極めて希薄になっているとしきりに語ることである。その理由として彼女たちがあげるのは、ラーバンや都市部における女性の高学歴化や社会進出である。高学歴で仕事をもつ女性は、子供や親のケアをしないというのが、低学歴で無職の村落出身の女性たちの批判である。さらに興味深いのは、近年増加しつつある帝王切開による出産が、母子関係を弱めているという村落出身の女性の語りである。従来は母子がともに出産の痛みを体験し、その苦しみを共有することによって親子の絆が確かなものとして築かれたのに対し、医者の介入によって出産の痛みが軽減されたため、苦難を通じての連帯感が弱まり、親子関係も希薄になったというのである。それは、ラーバンや都市部において子供が親の老後の世話をせず、親も子供の生活に干渉しないといったケア関係の変化に関する語りと結びついている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの調査研究では、ラーバンや都市部における親子関係の変化に関する村落在住者及び村落出身者の語りを通じて、親子の間のケア関係の変化が明らかになった。しかし、家族、親族、近隣などより広い範囲におけるケア関係の変化や働く女性たちがいかに新たなケア関係を構築しているかについては、まだ判明しておらず、引き続きフィールドワークが必要である。当初予期していなかったことは、働く女性が週末や休日も仕事と家事に追われており、インタビューになかなか応じてくれないことである。そのため、働く女性たちも参加する祭りの際に聞き取りを設定する試みをし、今後もそのような祭りの機会を利用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、引き続き現地調査を行い、特に働く女性を中心としたインタビューを行う予定である。
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Research Products
(1 results)