2016 Fiscal Year Research-status Report
地域活性化とアート活動の親和性に関する民族誌的研究:瀬戸内海離島地域の事例から
Project/Area Number |
15K03045
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山田 香織 香川大学, 地域連携戦略室, 非常勤教員 (50731832)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アートプロジェクト / 国際芸術祭 / アートツーリズム / 地域振興 / 瀬戸内海地域 / 離島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地方で3年に1度開催される国際芸術祭のひとつ、瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸と称す)の舞台である瀬戸内海地域の離島を対象とし、民族誌的手法を用いて地域活性化とアート活動の親和性を検証することを目的としている。本年度の研究成果は(1)調査、(2)データ分析と成果発表に大別できる。 (1)調査:第3回瀬戸芸開催年であった当該年度は、会期前・中・後に現地を訪れフィールドワークをおこなった。加えてボランティアメンバーとしての芸術祭への関与や、実行委員会や自治体関係者にも聞き取りをおこなった。これにより、芸術祭実施中という「ハレ」の時期の対象地の様態、住民の芸術祭関与の様子、運営体制を把握することができた。また、アート活動の現場を捉える視点を養うべく、国内外の芸術祭やアートプロジェクト(あいちトリエンナーレ、BEPPU PROJECT、エムシャークンスト(ドイツ)等)にも足を運び、フィールドワークと運営従事者への聞き取りをおこなった。これらの調査から、アートプロジェクトの多様性と各々の特徴、瀬戸芸ならびに瀬戸内海地域の特性を多角的に理解するに至ったほか、アート活動の現場の捉え方、何をもって「地域が活性化した」とするのか、そして地域振興とアート活動の親和性について思考した。 (2)データ分析・成果発表:調査で得たデータと理論の往還、関連テーマを扱う研究者との議論、学会等での口頭発表などによる成果発表をおこなった。 本研究では今後、芸術祭の各々の現場に立ち現れているモノゴトや価値観の詳述を進めていくが、これを通じて、昨今多用されているもののあいまいなタームでもある地域活性化(あるいは地域振興)に関して再考が可能ではないかと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点の調査研究計画をほぼ滞りなく遂行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
瀬戸芸の会場となった離島は次年度、第3回と第4回の芸術祭の合間の時期、いわゆる「ケ」の時期にあたる。この機にフィールドワークを行ない、当該地域の日常と、日常生活への芸術祭のインパクトの有無、インパクトがある場合にはその様態の把握をおこなう。また、次年度は本科研研究最終年度であるので、研究成果のアウトプットを積極的におこなう。学会等において成果を発表し、学会誌等への論文投稿の準備をすすめる。
|
Causes of Carryover |
本務との兼ね合いで国外調査を当初計画よりも短縮して実施したほか、調査の進捗をみて、当初計画していた宿泊を伴う国内調査を日帰りで実施した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画に準じた国内もしくは国外調査を次年度内に実施する。
|