2015 Fiscal Year Research-status Report
インド・イスラーム表象の観光化と芸術化:テーマパークとモダンアートを中心に
Project/Area Number |
15K03047
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
小牧 幸代 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (20303901)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / イスラーム / 表象 / 展示 / 観光 / テーマパーク / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究実施計画にしたがって、世界各地のテーマパークにおける「イスラーム風アトラクション」に関して、これまでに収集したデータ(具体的には、ムンバイ郊外のアドラブズ・イマジカ、ダッカ郊外Fantasy Kingdom、香港ディズニーランド、東京ディズニーシー、ウィーンのプラーター遊園地、ストックホルムのティヴォリ・グローナ・ルンドなどの事例)を整理し、分析するとともに、インターネットや文献資料等を通じて最新情報の収集に取り組んだ。同時に、宗教政治の領域と商品経済の領域が重層的に交差する「宗教ナショナリズム的アトラクション」や「愛国アトラクション」にも注意を払いつつ、データの整理・分析ならびに関連情報の収集をおこなった(具体的には、ニューデリーのDilli Haat、Akshardham、グルガーオンのKingdom of Dreams、ハイデラバード郊外Ramoji Film City、ムンバイのキッザニア、ムンバイ郊外Essel WorldおよびWater Kingdomなど)。 この過程で、現代インドの状況と比較可能な類似の事例を収集する必要が生じ、台湾のテーマパークにおける現地調査と資料収集を試みた。具体的には、高雄市に位置する台湾最大のテーマパーク「義大遊楽世界」と、同じく高雄市に位置するテーマパーク化した仏教施設「佛光山仏陀紀念館」、さらに台北市に位置する比較的小規模なアミューズメントパーク「台北市立遊園地」を訪問し、非日常性を演出または展示する各種アトラクションが、現代インドの場合と同様に、「国や宗教の歴史」「美食や消費の快楽」「伝統と未来のイメージ」を体験する文化装置となっている様子が確認できた。この調査報告は、テーマパークや宗教施設における文化的・宗教的な自己/他者表象のあり方の政治性をめぐる小論を通じて一般に公開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テーマパークにおける「イスラーム風アトラクション」、そしてその鏡像としての「宗教ナショナリズム的アトラクション」に関する調査研究はほぼ予定通りに進んでいるが、「イスラーム的モダンアート」に関する基礎調査を予定通りに進めることができなかった。現地調査のための時間を確保することができず、資料と文献の収集が実現できなかったためである。効率のよい調査研究の方法を試行錯誤のなかで見出していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も、引き続き、データの整理・分析と最新の情報収集は国内で実施する。そして、テーマパーク調査はムンバイ、モダンアート調査はハイデラバードで実施したい。現地調査の結果を、調査実施前までに解明できたことや前年度に実施した現地調査の結果などと比較し、地域や国による相違点・共通点を明らかにする。また、整理分析できたデータに基づき、国内の大学・研究機関で研究発表をおこなうほか、参考文献のさらなる収集と読解を通じて解釈枠組みの精緻化を図る。論文という形での研究成果の一般公開にも積極的に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
本務校での教育業務等のため、夏季休暇を利用した中長期の現地調査が実施できず、春季休暇中に短期の現地調査を実施することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏季休暇を利用した中長期の現地調査の実現を目指すとともに、春季休暇中などに複数回の短期の現地調査を実施する計画である。
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