2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K03051
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
阿南 透 江戸川大学, 社会学部, 教授 (50255204)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市祭礼 / 競技化 / 喧嘩祭 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、当初の予定通り、高岡市伏木の「伏木曳山祭」、南砺市福野の「福野夜高祭」、東京都府中市の「くらやみ祭り」、砺波市の「となみ夜高まつり」、静岡県森町の森の祭り、秋田県仙北市角館の「角館の祭り」、北海道札幌市の「YOSAKOIソーラン祭り」、青森県青森市の「青森ねぶた祭」、兵庫県姫路市の「灘のけんか祭り」の調査を行った。これらの祭礼については複数年の調査を経ており、十分なデータを収集することができた。 調査結果を比較検討した結果、青森ねぶた祭やYOSAKOIソーラン祭りでは、審査員が審査し表彰するという仕組みが出来上がっている。こうした仕組みが成立した経緯と変遷、運用状況の調査から、採点競技としての競技化が進行し、そのことが祭礼にどのような影響を与えているかが明らかになった。曳山や神輿などを他の町とぶつける「喧嘩祭」については、対戦相手、場所、時刻、ぶつかり方などを事前に決めてぶつかるというように、ルールが明確になり、遵守が求められる傾向が明らかになった。そうしたルールが成立する契機として、高度成長期に事故やさまざまな事件があり、警察や行政との交渉があったことが判明しつつあるものの、一部は調査中である。概して、競技化により祭礼が発展し、観光化する傾向を読み取ることができた。また綱引きについても資料を収集中であり、競技化を指向するものと、そうでないものがあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始前に予定した祭礼の現地調査については、すべて実施することができた。また、今年度は研究会を1回開催し、講師を招いて研修を行うとともに、調査結果を検討し、次年度の課題を整理することができた。さらに、メンバーが学術論文、記念論集への寄稿等を執筆するとともに、日本民俗学会、現代民俗学会、研究会、シンポジウム「富山の祭り」等で個別発表を行い、成果の一部を発表した。こうしたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も、当初に予定したとおり、高岡市伏木の「伏木曳山祭」、南砺市福野の「福野夜高祭」、東京都府中市の「くらやみ祭り」、砺波市の「となみ夜高まつり」、静岡県森町の森の祭り、秋田県仙北市角館の「角館の祭り」、北海道札幌市の「YOSAKOIソーラン祭り」、青森県青森市の「青森ねぶた祭」等の祭礼調査を継続する。また、研究会を開催し、研究の進行状況を確認した上、10月に日本民俗学会年会でグループ発表を行う。これを踏まえて最終的な結論をとりまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
開催予定の研究会のうち1回を次年度に回し、30年度に予定している学会発表の準備に充てることとしたため、そのための経費を次年度に回すことにした。また、調査が順調に進行したため、一部の調査日程を短縮した。このため使用額を次年度に回すことになった。
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Research Products
(4 results)