2015 Fiscal Year Research-status Report
太平洋現代芸術の人類学的研究―ニュージーランド太平洋系住民のアート活動を中心に
Project/Area Number |
15K03058
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 文化人類学 / 太平洋諸島 / ニュージーランド / 現代アート / アイデンティティ / ポストコロニアル / 移民 / ポリネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでかなり資料収集に努めてきたが、最初の半年間の間、それらの整理を行い、足りない部分がないかどうかのチェックを行った。整理は自身が資料を読み込むことが重要であるが、それに加えて、アーティストのアートのジャンル、アーティストの活動年代、アートの特徴、評価などのサマリーをアルバイトにデータベースの作成をしてもらっている。これまで全体作業の半分程度が終了している。国立民族学博物館は、民族学的な太平洋芸術の文書資料は多く収集しているが、現代アートの収集は少ない。また、東京の美術館(国立新美術館、国立近代美術館など)では、テーマに直結する資料を見つけていない。収集していないもので購入可能なものはできるだけ購入するようにしているが、日本にいては情報自体があまり入ってこないので、フィールドワーク中に、資料収集を行った。 9月末にトンガで開催された太平洋芸術協会の太平洋分科会の年次大会に参加して、自らもサモアのファインマットに関する発表を行うと同時に、トンガやニュージーランドでのアート活動について情報収集を行った。 2月27日~3月16日にニュージーランド・オークランド市にて、フィールドワークを行った。当初はアーティストにある程度形式を踏んだインタヴュー調査を行う予定であったが、やはり最初はアーティストとの間のラポールを作り育てることが重要と思われたため(また予想以上に好意的に迎え入れてくれたこともあり)、活動に参加して、顔つなぎをしたり、来年のインタヴューを依頼し、参与観察をすることに努めた。オークランド・フェスティバル、パシフィカ・フェスティバルの季節であったため、多くのアーティストと無定型の会話を行うことができた。アーティスト集団タウタイの活動も取材できた。また、太平洋芸術協会の3年に一度の全体シンポジウムがちょうど開催され、そこでも多くの情報を収集することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本でデータ収集を行うことはほぼ無理であろうと推測していたことがやはりそうらしいと判明しているが、既に多くの出版物を個人的に収集しており、さらにフィールドワークの際にデータ収集を行うことが可能であったため、文献データは十分集めていると思われる。 トンガでの会議参加、ニュージーランド・オークランド市でのフィールドワークで、アーティストの面接調査は行わなかったが、多くのデータを収集することができた。また、かつてより、ウェブ上のデータや、メーリングリスト等で得られるデータがあるので、これらを活用することで、多くのデータ収集が可能であった。 今後、これらのデータを活用することで、28年度・29年度の調査において、フォーマルなインタヴュー調査を行う準備ができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
5月20日~31日の予定で、グアムで開催される太平洋芸術祭(4年に一度)でフィールドワークを行う。アーティストの参加が見込まれるため、そこで観察を行ったり、無定型のインタヴューを試みたりする予定である。 11月16日~20日に開催されるアメリカ人類学会で、'Conflicting Discourses of Samoan Identities'というタイトルで発表するための申請を行った。サモア人アーティストのアイデンティティを論じる予定であり、この研究の中間発表的なものを行うこととなる。 この間も、27年度の終わりに行ったフィールドワークのデータ整理も含め、文献データの整理、分析を継続して行う。アルバイトを利用してのデータベースは28年度中には完成したいと考えている。 2月~3月にニュージーランド・オークランドでインタヴュー調査を行う。また、必要に応じて、ウェリントン等へも出張して在住アーティストにインタヴューを行う。オークランド工科大学の建築デザインの研究グループに参加を求められているので、この期間にアイディアの交換も行う予定である。27年度にはクリエイティヴ・ニュージーランド訪問は実現できなかったため、28年度に行う予定である。
|
Causes of Carryover |
半分は、フィールドワーク中に利用した、レンタカーと書籍の購入の両方が、クレジットカード利用であり、その支払いが28年4月になってしまったためである。もう半分は、28年のフィールドワーク(グアムとニュージーランド)で、想定より若干経費が増えそうなので、多少資金を残すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年4月支払い分は、既に確定して請求してある。フィールドワーク(グアムとニュージーランド)で、想定よりも経費が増えそうであり、ここに10万円少々を加算して投入する予定である。
|
Research Products
(4 results)