2016 Fiscal Year Research-status Report
帝国と人種に関する人類学的研究--オマーン人移民の事例から
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15K03062
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
大川 真由子 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (70571818)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オマーン / ザンジバル / 移民 / 人種 / エスニシティ / 帝国 / 混血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、移住元から移住先への一方向的な移動を扱ってきた従来の移民研究に対し、移住先で生まれ育った二世以降の帰還や残留を含めた生活世界の分析から、「帝国」や「混血」という概念を検証することを目的とする。考察の対象は、本国の領土拡大に伴いアラビア半島のオマーン沿岸部から東アフリカにかけての領土を含む「オマーン帝国」内を移動していたオマーン人である。 年度前半は、前年度1月にオーガナイザーを務めた「帝国と混血」のシンポジウムに基づいた特集の序文および論文を『文化人類学研究』に投稿し、採用された。そこでは、オマーン帝国および帝国後における混血の処遇について、おもに歴史学者によって提示されてきた西欧帝国との比較の中で比較考察することで、従来の帝国研究をムスリムの帝国の側から照射するとともに、帝国という分析概念自体の輪郭を明確にすることを目指した。 それと並行して、1970年以降、東アフリカからオマーンに引き揚げてきたオマーン人や、古参移民としてオマーンに定住したインド系やパキスタン系のオマーン人の就業形態の分析から、現代のオマーン社会では、エスニシティよりも部族という要素が就業に影響を与えるとする論文を英語にて発表した。
年度後半は、オマーンの首都マスカットにて約2週間の現地調査を実施し、「帝国」や「混血」というテーマにそってインタビュー調査や資料収集(植民地ザンジバルにおいて発刊されていた新聞など)をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は日本語および英語で3本の論考を発表することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
イギリスでの文献収集を実施し、申請者が収集してきた民族誌的データに厚みを持たせたい。
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Causes of Carryover |
一昨年からの繰り越し金をほとんど使うことができなかったから。文献を科研費で買うことが予定より少なかったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度のイギリス文献調査にて使用予定。
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Research Products
(4 results)