2017 Fiscal Year Research-status Report
帝国と人種に関する人類学的研究--オマーン人移民の事例から
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15K03062
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
大川 真由子 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (70571818)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オマーン / ザンジバル / 移民 / エスニシティ / 帝国 / 混血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、移住元から移住先への一方向的な移動を扱ってきた従来の移民研究に対し、移住先で生まれ育った二世以降の帰還や残留を含めた生活世界の分析から、「帝国」や「混血」という概念を検証することを目的としている。考察の対象は、本国の領土拡大に伴いアラビア半島のオマーン沿岸部から東アフリカにかけての領土を含む「オマーン帝国」内を移動していたオマーン人である。 年度前半は、昨年度末に実施した現地調査の資料の解読・口頭データの整理をした。過去および帝国後の現在においていかに「帝国」が語られ表象されてきたかが徐々に明らかになりつつある。それらのデータは、執筆中の『オマーンを知るための55章』(明石書店)の各章、「東アフリカへの遷都」や「移民に支えられた経済活動」、「帰還移民」などを執筆(13章分)際に反映された。本書は、日本語で読めるオマーンに関する一般書としては国内初となる。 年度後半は、オマーンの首都マスカットにて約2週間の現地調査を実施した。3年ぶりに国際ブックフェアを訪問できたのは大きな収穫であった。近年、ハイペースで出版されているオマーン帝国の歴史書を入手することができた。また、国立古文書館や教育省を訪問し、過去の教科書を閲覧したり、関係者にインタビューをおこなうなど、「帝国」や「混血」というテーマに関する資料収集を実施することができた。 また、本科研の予算ではないが、年次途中でトルコ出張の機会があり、オマーン帝国と同時代のオスマン帝国に関する人口調査の資料を入手することができた。現在、帝国間の比較を試みていることから、本資料は有益であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
校務および家庭の事情により、十分な海外調査実施期間を確保することができず、予定していたイギリスの文献収集が実現されていないことに加え、『オマーンを知るための55章』の執筆において、かなりの分量を担当することになり、学術論文執筆にまで手が回らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
イギリスでの文献収集を実施し、申請者が収集してきた民族誌的データに厚みを持たせたい。
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Causes of Carryover |
今年度はほぼ予算を消化したが、前年度からの繰り越し分をそのまま来年度に繰り越す形となったため。
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Research Products
(1 results)