2015 Fiscal Year Research-status Report
日本人の異文化間結婚による国際移住と老いに関する文化人類学的研究
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15K03068
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
金本 伊津子 桃山学院大学, 経営学部, 教授 (60280020)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際結婚 / 国際移動 / グローバルマイグレーション / 老い / 在外日本人 / エスニシティ / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
1 日本人のグローバル・マイグレーション(国際結婚を含む国際移動)により世界の各地に形成された日本人コミュニティは、この十数年において高齢化が進み、海外に在住する日本人高齢者のケアが深刻な問題として浮かび上がってきている。この研究は、異文化間結婚によって老後を海外で過ごす日本人の老いに伴う喪失の経験に焦点をあて、エスニシティの「日本人」へと推移する高齢者の文化的アイデンティティの変遷を明らかにするものである。また、異文化においても日本人高齢者のウェルビーイングを支えあうために日本人コミュニティが共有するエスニシティにも文化人類学的考察を与える。 2 平成27年度においては、戦後「戦争花嫁」としてオーストラリアに渡った日本人女性が多数居住するシドニーとメルボルンにおいてフィールドワーク調査を実施した。現在においては、ワーキングホリデーなどの制度を利用してオーストラリアに長期滞在する中で国際結婚に発展したケースなどを多数観察した。 3 シドニーにおいては、オーストラリアの助成金を活用しながら日本人高齢者のためのデイ・サービスを実施してきた「コミュニティネット」の活動の変遷から、シドニーの日本人コミュニティの特徴が明らかとなった。平成28年度においては、コミュニティネットとのコラボレーションによる共同研究を展開する予定である。 4 メルボルンにおいては、シドニー同様、地域の助成金を活用しながら日本人高齢者へのサービスを展開している「鈴の会」の活動のみらず、他のエスニック・グループの活動に参加して、インタビュー調査を実施した。 5 平成28年度においては、パースにある「虹の会」への調査を実施することにより、オーストラリアの全体像を把握する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 オーストラリアでのフィールドワークを実施し、現地コミュニティとのラポールを築くことができ、発展的な調査を翌年度に展開することができた。 2 インタビュー調査も順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1 平成28年度においては、平成27年度に実施したフィールドワーク調査において関係が構築できた「コミュニティネット」とのコラボレーションによる共同研究を実施する予定である。「コミュニティネット」が持つ地域のネットワークを活用して、シドニーの日本人コミュニティが直面している問題(国際結婚を含めた個々の移住のタイミングの違いからコミュニティが分断されている問題)を明らかにする。 2 オーストラリアにおける日本人コミュニティの歴史を明らかにするため、第2次世界大戦中に「敵性外国人」として収容された日本人の収容所経験を明らかにする。 3 パースにある「虹の会」の活動をフィールドワーク調査する。 4 北米におけるフィールドワークに着手する。
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Causes of Carryover |
平成27年度末にオーストラリアで実施したフィールドワーク調査の旅費の清算を平成28年度に行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にオーストラリアで実施したフィールドワーク調査の旅費と、平成28年度に計画している調査の経費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)