2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K03077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇田川 幸則 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80298835)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 現代中国法 / 紛争解決と法 / 調解 / 調停 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、現有資料の精査とその補強(新規資料の収集と精査)、および現地ヒアリング調査に重点をおいて取り組んだ。具体的には以下のとおりである。 (1)研究代表者がこれまでに個人的に収集してきた資料の読解および整理を行った。 (2)現地での資料収集を行うとととに、これと平行して、CNKI(中国学術文献オンラインサービス)をはじめとするデータベースや最高人民法院をはじめとする各クラス法院のウェブサイト上の裁判例に関するデータベース、インターネットやソーシャルネットワーキングサービスをつうじて資料を収集し、その読解および整理を行った。 (3)近時、日本国内で収集可能な資料も徐々には増えてきたが、今なお資料上の制約も多く、また、本研究を真の実証研究たらしめんとすれば、現地でのフィールドワークは欠かせない。海外研究協力者をお願いしている渠涛教授(北京理工大学珠海学院民商法律学院・兼中国社会科学院法学研究所研究員)、丁相順教授(中国人民大学法律院)、辛崇陽教授(中国政法大学)のご協力を得て、北京市において、各クラス法院の現職裁判官、人民調停委員会調停委員、弁護士および研究者に対するヒアリング調査を実施するとともに、資料収集を実施した。 (4)神戸市外国語大学において、本研究の中間報告に位置づけることができる研究報告を行った。 (5)本研究の成果の一部を、法政論集(名古屋大学法学研究科・法学部紀要)に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書「研究実施計画」欄記載の年度計画をほぼ予定どおり履行しており、おおむね順調に進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、中国における私人間紛争解決のうち、とくに調解を素材として、なぜ調解による紛争解決が「公平・公正な紛争解決」と認識されるのかを析出することで、中国における「公平・公正な紛争解決」とはどのようなものであるかを解明することにある。その上で、中国における紛争解決システム全体における公平・公正論、ひいては正義論・平等論にまで展開しうるプラットフォームを構築し、中国における法・市民・行政三者の関係を解明することをも目的とする。今後は私人間紛争解決制度の設計者、担い手および利用者(=紛争当事者)に対するヒアリング調査を中心に研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初予定していた夏季休業中の現地調査および資料収集が、研究代表者の健康上の問題で実施できなかったため、そのための旅費相当額が次年度使用額として生じた。 (使用計画) 本年度の旅費として支出する予定である。
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Research Products
(4 results)