2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of social norm theory as basic theory concerning child rearing and education
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15K03083
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大江 洋 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (80308098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 親の正義論 / 子どもの権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
「子育て・教育に関わる基礎理論としての社会的規範理論の構築」という本研究のテーマに沿って最終年度は「親の正義論」という観点で研究を進めた。 子育てコストを中心とした子ども関連のコストはいかにして社会的に担われるべきかについての原理的指針の構築を行った。子どもの貧困や子育ての困難などの社会問題を端緒として、児童福祉制度を中心とした社会保障制度改善への注目が集まっている。そこでの根本的な理論的課題は、子どもをめぐる種々のコストの社会的共有・分配問題である。果たして子育てに関わるコストのすべては親が担うべきなのだろうか。あるいはそのコストを社会的に共有すべきだとすれば、その正当化理由はどこにあるのか。主として英語圏の法哲学上の議論において、これらの問いは「親の正義(parental justice)」論として位置づけられてきた。 当該コスト(それが何かを含め)の共有論―非共有論を理論的分岐点としてそれらの論究は深められつつある。たとえば、子どもをめぐるコストを哲学的に考究する研究者として著名なオルサレティは、この親の正義論を、「親でない人々は当該コスト負担を共有すべき義務を負うのか」という命題によって定式化する。それらの問いに対する回答を、子どもの権利論を含む子どもの道徳的政治的地位論の観点から広く法哲学的に検討した。加えて、正義論、責任概念論、平等論、権利論など法哲学の一般般理論へのフィードバック的貢献を意識して研究を行った。 最終年度において上記の観点から、「親の正義論」岡山大學法學會雜誌 67(3・4), 519-560, 2018年を執筆した。
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Research Products
(1 results)