2015 Fiscal Year Research-status Report
最高裁判事・山田作之助を起点とした二十世紀の法実務と学知の交錯
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15K03096
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
和仁 かや 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90511808)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 良通 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (70511971)
辻村 亮彦 神戸学院大学, 法学部, 講師 (30547823)
小松 昭人 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (00315037)
下村 太一 神戸学院大学, 法学部, 講師 (70548164)
足立 公志朗 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (70581940)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 法制史 / 近現代 / 史料学 / 司法実務 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の開始年度に当たる平成27年度は、まずは研究遂行の環境整備を最優先課題として以下の作業に着手した。
第一に、研究補助者の助力も得て、.緊急避難的に神戸学院大学有瀬キャンパスに搬入・保管されていた、本研究の対象である元最高裁判事・山田作之助の膨大な蔵書の開梱・整理作業を開始し、その多くの部分について、今後の研究遂行のための閲覧に支障がない程度に保管場所で暫定的な整理・配架をすることが出来た。
第二に、上記の作業と並行して、この雑多な資料群を、資料の持つ多様性、また法律家・山田による法実務の営みを再現するような整理を行うという本研究の目的に鑑み、数度にわたる開梱・整理方針の打ち合わせを重ねた。平成27年7月及び平成28年2月には九州在住の研究代表者も神戸に赴き、メンバー合同で資料の実地調査を行いながらの意見交換や確認の場を設けた。なおメンバーのうち和仁・足立が、この過程で得られた知見の一部をも活かした招待講演・論文公刊を行った。
第三に、資料の全体像を早期に把握し、もって今後の研究遂行に資するべく、個人情報をも多く含む本資料群の性質に配慮し、保管場所にスタンドアローンのパソコン及び周辺機器を備え付け、蔵書・資料の目録作成にとりかかった。なおこの目録は差し当たり蔵書の全容を把え、研究メンバー内において検索を容易にするためのリストであり、最終的に公開可能な目録の編集にはなおその方針について慎重な検討を要するゆえ、次年度以降の課題となる。
以上に加え、第三で設定した環境を活かし文書類のうち学問的に重要と思われるものの選別とスキャニングに取りかかり、痛みの激しいものについて部分的に確認した。また山田が顧問弁護士として関わった企業に関する社史類等を研究資料として整備した他、メンバーのうち辻村が、平成28年2月に東京大学法学部図書室等において関連史料の調査・収集を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費の交付が決定された後、本研究は概ね計画通りに遂行されている。
まず、研究補助者が得られたこともあって開梱・整理作業は比較的に順調に進み、ほぼ完了した。但しこれはあくまでも今後の研究遂行のため最小限の閲覧の便を確保したに留まるものである。すなわち、この過程で数度の話し合いや検討を重ねたが、その中で本資料が当初の予想をはるかに超える多様性・学問的価値を有することが判明し、また個人情報をも多く含む司法関係資料という高度の配慮を要するため、かかる性質に十全に配慮した上での、最終的に広く利用可能なかたちの整理が完了したとは言えない状況にあるからである。しかしながら、ともかくまずは全容を把握する必要性を優先し、差し当たりの暫定的な開梱・配架を急いだ結果、今後の作業の効率性は飛躍的に確保された。文献リストについても同じことが妥当し、まずは資料の状態も含め、リストアップに全力を尽くし、作業全体としては順調に進んでいるといえる。
また二度の比較的大規模な打ち合わせを含め、研究メンバー同士での整理・分類はもとより、公開に向けてのガイドラインを見据えての意見交換や検討を行った結果大まかな見透しは徐々に共有されつつある。次年度の作業が進めば、メンバーの本資料についての知見も一層深まり、それを部分的にでも活かした成果も更に増えるものと期待される。他機関所蔵の関連資料の調査についても、必要最小限の分は実施することが出来たが、次年度は時間の制約上できなかった分も含め、更に積極的に行っていきたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究計画2年目に当たる次年度はまず、引き続き整理・分類作業、及び文献リスト作成に、その方針についての具体的な検討を慎重に重ねながら注力する。この過程で補修等を要する史料をさらに広範囲にリストアップし、適宜資料保存の専門家の意見も聴取しつつ、可能なものについては補修を施す。併せて公開に向けてのガイドラインについても、叩き台となり得る試案の作成に着手したい。
上記の目的を達成するためには、本資料について研究メンバーが一層理解を深め、また他の研究者の知見を得たり、また本資料に対する専門的見地からの理解を慎重に拡げる必要がある。かかる目的から、本年度の早い時期に、山田と親交の深かった法律家・法律学者についての専門研究者を招いての意見交換を旨とした研究会を開催する予定である。また山田と公私両面で交流があり、かつ本資料に多くの書簡を含む、同時期の最高裁判事経験者であった行政法学者・田中二郎の文書（東京大学法学部附属・近代日本法政資料センター所蔵）など、他機関が所蔵する関連資料及びその保存・公開状況の調査も、引き続き本格的に進めていく。
併せて史料紹介的な論文の執筆や、地元・神戸にとってきわめて重要な法律家である山田を地域住民に紹介するような企画展示の実施をも具体的に検討したい。
かかる計画が順調に進めば、最終年度である来年度は分類整理及び目録完成に全力を挙げ、同時に訴訟資料の公開・提供にあたってのガイドラインについて、民事判決原本データベース（国際日本文化研究センター）等を参考に、慎重に検討するを重ねて目録の公開に向けた最終作業を行う他、全員が各自の問題関心及び専門に従い、史料紹介を始めとする個別論文の執筆に尽力することとなろう。
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| Causes of Carryover |
研究費が執行可能となる時期と、当初予定していたところの研究補助者に作業に取りかかってもらう時期との間にタイムラグが生じたため、年度中に予定されていた作業が一部次年度に持ち越され、それに伴って謝金も繰り越されることとなったのが、まず第一の大きな理由である。また研究メンバーの時間の制約上、合同の打合せの回数が、必要最低限の分は実施できたものの当初予定していたより若干減り、加えて予定していた資料調査で実施できなかった分があるため、その分の旅費が未使用となった。また資料の補修に計上していた分が、補修を要する資料について一部分しかリストアップできなかったため、やはりその分が次年度に繰り越されることとなった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は作業の効率を一層上げ、もって研究の遂行をさらに推進するべく、整理及び目録作成に関わる研究補助者の数及び勤務を増やし、そのために本年度より謝金を支出が増える予定である。また数回の、他の専門研究者を招いての研究集会を神戸で予定しており、それにかかる旅費や謝金を、さらに資料保管先である神戸での打合せに係る代表者の旅費を計上している。さらにはメンバーによる他機関への調査費、資料の補修費、企画展示の検討・準備にかかる諸費用、代表者の勤務先の福岡及び分担者の勤務先かつ資料の保管先である神戸との通信に係る経費、研究推進用の関連文献整備、整理・分類・文献目録作成のための消耗品への支出を見込んでいる。
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Research Products
(2 results)
