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2016 Fiscal Year Research-status Report

9・11後のニューヨーク:テロ予防の刑事司法・都市再開発・市民的自由

Research Project

Project/Area Number 15K03101
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

今野 健一  山形大学, 人文学部, 教授 (70272086)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高橋 早苗  仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (90285685)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsテロ・犯罪のリスク / 憲法と市民的自由 / レイシャル・プロファイリング / 都市空間の再編成
Outline of Annual Research Achievements

28年度は、ニューヨーク市の犯罪対策プログラム(特に停止・身体捜検(stop-and-frisk)の広汎な使用)の違憲性を明言して波紋を呼んだ2013年のニューヨーク南部地区連邦地方裁判所判決(Floyd判決)を検討する研究論文を研究分担者との共著としてまとめ、研究代表者の所属大学の紀要に投稿し掲載された。
当該論文では、ニューヨーク市と同市警察本部(NYPD)による強力な停止・身体捜検政策採用の社会的背景を明らかにするとともに、人種的偏見に根差す警察活動であるレイシャル・プロファイリング(Racial Profiling)として法的問題を孕むことや、Floyd訴訟判決がNYPDの停止・身体捜検政策を人種的マイノリティの権利を侵すものであり憲法違反(修正4条・14条)であると断じ、ニューヨーク市に対しNYPDの停止・身体捜検を始めとする実務と政策の広汎な改革を命じたことなどを紹介した。
その後、同判決の憲法学的な精査を試みる論稿を研究代表者の単著としてまとめ、29年度中の公刊が予定されている。かかる論稿では、停止・身体捜検という警察実務の憲法的枠づけが合衆国最高裁判所によって如何に行われてきたかを、憲法判例の展開過程の検討から明らかにし、停止・身体捜検による人権侵害からの救済申立てを支える憲法論(捜索・逮捕に令状や「相当の理由」を求める修正4条や、法の平等保護を定める修正14条をめぐるもの)の可能性を探索し、前記Floyd判決の判例法理を分析した。そのうえで、レイシャル・プロファイリングは社会の基盤それ自体を深く蝕む効果を有するものであり、NYPDのポリシング政策を正面から違憲と断じたFloyd訴訟判決は、マイノリティ救済のための司法の役割の重要さを改めて浮き彫りにするものであったと結論づけている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

研究2年目の目標は、引き続き、9・11テロ後のニューヨーク市およびアメリカ合衆国における対テロ政策・治安維持政策、ニューヨーク市警察本部(NYPD)の組織とポリシング、刑事司法、都市問題・都市政策などに関する文献・資料の収集に努めること、および、ニューヨーク市での視察・見学等を行うこととしていた。研究資料の収集は順調に進捗したが、現地の視察・見学は諸般の事情で実現を見なかった。しかし、これまでの収集資料を用いて研究成果を複数の研究論文にまとめるなど、全体としてみると、当初計画より進捗していると言える。

Strategy for Future Research Activity

研究最終年度は、過去2ヵ年にわたり収集に努めた研究資料の全般的な整理・分類および分析・考察に取り組む。また、年度末に研究成果を報告書としてとりまとめる。
アメリカの最近の状況に照らせば、本研究の意義は(残念ながら)ますます高まっているように見える。ニューヨーク市も含め、各地で警察官によるマイノリティ市民への致命的な暴力行為が頻発している(例えば、2014年のミズーリ州ファーガソンでのアフリカ系少年射殺事件など)。また、従来のもっぱらアフリカ系男性などに対するレイシャル・プロファイリングから、中東系移民に対する宗教的・倫理的な側面でのプロファイリングへと重点が移行しつつあるなか、アラブ系やムスリムの市民への監視や法執行の行きすぎが問題視され、訴訟にまで発展している。最終年度は、NYPDによるムスリム市民への監視プログラムの違法性を問う訴訟の憲法学的精査を中心に進めていく。さらに、ニューヨーク市再開発問題に関して、都市空間の再編成とそれがもたらす市民的自由の侵害の様相を明らかにしていくことも考えている。

Causes of Carryover

研究資料(外国語図書を中心とする文献)の収集はおおむね想定通りに進んだが、諸般の事情により、ニューヨーク市の現地視察の予定を実現し得なかったことで、一部残額が生じる結果となった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究の進捗に伴い、より多くの研究資料を要するため、資料の検索・収集を継続的に進めることが必要となる。それとともに、その全般的な整理・分類と読解・分析を円滑かつ有効に実施することを目指しつつ、助成金を計画的に使用するよう努めたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] ニューヨーク市の停止・身体捜検政策の検討―Floyd v. City of New York (2013)を中心に―2016

    • Author(s)
      今野健一、高橋早苗
    • Journal Title

      山形大学紀要(社会科学)

      Volume: 47(1) Pages: 69-82

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2018-01-16  

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