2019 Fiscal Year Research-status Report
「東アジアにおける『共和国』の意味ー韓国を中心に」
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15K03108
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
國分 典子 法政大学, 法学部, 教授 (40259312)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 立憲主義 / 民主主義 / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、主に以下の点について研究および発表を行った。 (1)歴史的考察として、韓国における3・1独立運動以降に起こる大韓民国臨時議政院の活動に着目し、その憲法史的意味について検討した。臨時議政院は植民地支配下に作られた議会であるが、その活動実態については韓国内でもあまり研究は進んでいない。大韓民国臨時政府下で作られた憲法および関連法令から臨時議政院の機能を分析し、韓国史上初めて、「共和国」の名称が用いられた時期の議会の位置づけを探った(この内容は、設立100周年記念として行われた韓国国会図書館のシンポジウムで報告した)。 (2)臨時議政院を考察する中で植民地時代以前の議会設立運動と臨時議政院の関係に着目する必要があると考え、韓末の独立協会活動を対象に分析を行った。独立協会における「討論会」や民衆集会として登場した万民共同会が議会設立運動とどのように関連しているのかを分析した(論文「朝鮮・韓国における『議会設立』運動と日本」として発表予定)。 (3)現代の動きとして、2014年の韓国における統合進歩党党解散に着目し、憲法裁判所決定を分析した。同決定では韓国憲法の想定する立憲民主主義の内容について詳細な説明が行われており、またそれが「共和主義」と「法治主義」の要素をもつものであるとされている。憲法裁判所の民主主義理解が共和主義と等置されている可能性について考察した。また憲法裁判所に関連しては、「司法の政治化」現象に着目し、憲法裁判所が政治問題にどのようにアプローチし、国民意思をどのように憲法解釈に取り込んでいるのかについても検討した。 (4)1970年代の米中接近やベトナム戦争終結と朝鮮半島情勢の変化が韓国の北朝鮮に対する対応にどのような変化をもたらしたのかを考察し、それが国民概念にどのように影響を与えているのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は本来、本研究の最終年度にあたり、これまで検討してきた内容のうち、特に憲法裁判所に関わる論点について、憲法裁判研究院のソ・ウニョン教授にコメントをもらう予定であったが、同教授が育児休養中のため、訪問を延期することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中に、韓国を訪問し、憲法裁判研究院でソ・ウニョン教授から研究成果についてのコメントをもらうとともに、その他のやり残した部分についての研究を補完する予定である。但し、コロナウィルスのために韓国を訪問できない可能性があり、その場合は、訪問以外の方法でコメントを得る方法を考えることとする。
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Causes of Carryover |
2019年度予定した韓国で指導助言を受ける計画が先方の都合により変更せざるをえなくなったため、次年度使用額が生じた。次年度、韓国出張(またはコロナウィルス等でそれが困難な場合には、その他の通信手段等)によって指導助言を受ける費用として助成金を使うとともに、本来、昨年度出張時に同時に行う予定であった資料の補完的収集・整理に残りの金額を充てる予定である。
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Research Products
(5 results)