2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03110
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 秀美 慶應義塾大学, メディア・コミュニケーション研究所(三田), 教授 (50247475)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放送の自由 / 番組編集準則 / 日本放送協会 / インターネット / 検索サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き番組編集準則についての研究を行った。「日本マス・コミュニケーション学会」と「メディア・ジャーナリズム研究会」共催の研究会において、その成果を発表した。「日本マス・コミュニケーション学会」2016年春季大会ワークショップにおいて、問題提起者としてこのテーマについて発表した。さらに、立命館大学法学部「学術講演会」に招かれ、「放送法の番組編集準則と表現の自由」というテーマで学生向けに講演した(2016年12月8日)。秋田朝日放送の社員研修会に招かれ、「放送局で働くなら知っておきたい放送法の基本」というテーマで講演した(2017年3月2日)この他、単行本『放送制度概論』(共著)を編集し、商事法務から2017年1月に出版した。同書の編集作業に加えて、「日本放送協会」(2編5章)等を分担執筆した。1月22日、同書出版記念の公開シンポジウムを慶應義塾大学で開催した。 ポリヤック「ハンガリーのメディア規制の危機的問題」を訳出、メディア・コミュニケーション研究67号(2017)149-159頁で公表した。 インターネットについては、検索結果の削除請求についての研究を行った。2017年1月31日、この問題についての最高裁としての初の判断が示されたので、その分析を行った。その成果は、「インターネット検索サービスにおける表現の自由とプライバシー」というタイトルの判例評釈として、月刊『ジュリスト』1507号(2017年5月25日発売)に掲載されることが確定している。3月16日には、司法研修所が裁判官のために開催した特別研究会に招かれ、「インターネット上の人格権侵害と表現の自由―日独の議論を手がかりに」というテーマで発表した。 2016年10月、ドイツと欧州の通信放送法制の動向について調査した。2017年2月7日、岡山の2つのテレビ局においてローカル局の現状について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度に番組編集準則(放送法4条)の解釈が政治問題となり、それについての議論が高まったため、2016年度も日本マスコミュニケーション学会のワークショップで問題提起者として発表を行い参加者と討論することなどを通じて研究がさらに深まった。また、大学やテレビ局に講師として招かれ、研究成果を学界の外側にいる人たちにも発表する機会を得た。 2016年度は、2010年に大きな改正があった放送法について、2009年に出版した編著『放送法を読み解く』(商事法務)の改訂版として『放送制度概論』を出版することもできた。同書において、NHKについての解説を分担執筆したことをきっかけに、NHKと政治の関係についての研究を行うこともできた。 放送局やBPOの自主規制についての考察はできなかったが、それは最終年度に取り組む予定である。 この他、通信法制については、インターネット検索サービスにより示される検索結果について、人格権侵害を理由に検索事業者に削除させることができるかという問題についてもタイミングよく最高裁の初めての判断が下されたため、ドイツをはじめ外国との比較も含めて研究が進んだ。その成果は、2017年度に判例評釈や論文として発表する予定である。 計画したことができていない面もあるが、計画以上に研究が深まった論点も複数あるので、本研究は、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、本研究の最終年度になるため、当初の計画のうちこれまで2年間に取り上げることができなかったテーマについての研究を進めたいと考えている。なかでも、放送法によって放送事業者が義務付けられた番組審議機関について、形骸化という問題が指摘されているが、その実態についての調査を行うことで、放送法が期待した番組適正化という目標がなぜ十分に達成されていないと評価されているのか、法的枠組みの問題を分析することを予定している。また、番組審議機関ではできない自主規制のために設立されたBPOが果たす役割についても、あわせて検討してみたい。 研究方法としては、日本やドイツの文献収集とその分析に加えて、同じテーマについて関心を持つ内外の研究者や実務家との研究会を開催し、専門知識の提供を受けたり意見交換を行う。また、放送通信法制の現状把握のため国外・国内で事業者等からヒアリングも行う。
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Causes of Carryover |
専門知識の提供を受けるために2回程度、研究会を開催する予定であったが、論文執筆や『放送制度概論』の編集作業に時間を取られて、研究会を開催することが2016年度に会計処理する期限までにできなかったので、謝金を支出しなかった。 また、2010年度に購入した研究室で使用しているパソコンが古くなり、買い替える必要が生じており、2016年度中に新しいパソコンを購入する予定であったが、前述したように、論文執筆や『放送制度概論』の編集作業を中断せずに行うためには、新しいパソコンの導入のタイミングを遅らせる必要が生じた。2017年に入って機種の選定を行ったが、購入を希望する機種の場合、2016年度に会計処理する期限までの納品が難しい状況であったため、パソコン購入は2017年度にすることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究会はすでに2017年3月27日に1回開催したが、研究会に招いた講師に対する謝金は2017年度に入ってから支払う予定である。また、2017年度にも2回程度の研究会を開催し、講師には謝金を、講演はしないが意見交換のために地方から参加する研究者には旅費を支払う予定である。また、2017年度の早い段階で、前年度の残金によりパソコンを購入する。
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