2016 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な共有型経済と憲法上の「近代市民社会における原則的所有形態」
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15K03122
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中島 徹 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (60366979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 持続可能性 / 土地所有権 / 近代的土地所有権 / 総有 / コモンズ / 政治的自由 / 地租改正 / 選挙権 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究主題に関し、引き続き関連諸分野における先行研究や関連研究を収集・検討を行った。本年度に予定していた海外出張は諸般の事情から翌年度以降に延期したが、それによりむしろ基礎研究に専念することができ、研究成果として「土地、自由、選挙権」を公表した(糖塚康江編「代表制民主主義を再考する」所収)。さらに、平成29年5月刊行予定の「憲法の尊厳」所収の「政治的自由と財産私有型民主制」も公表予定である。 これに加えて、現在、持続可能性をキーワードとする本研究にとってのかなめのひとつともいうべき森林法の形成過程における皇室財産制度の形成をめぐる問題を検討する論考を準備中である。これは、明治政府と皇室とのかかわりを財産制度との関係で検討することを目的とするものであるが、それが森林法の総有制度といかなる関係にあったか、最高裁判決はその点を考慮したかどうか、さらには最高裁の判断が持続可能な享有制度にどのような悪影響を与えているかについて、検証する予定である。 いずれの論考も、本研究における持続可能性というキーワードとの関係における政治システムの在り方にかかわるものである。これらにおいては、現在の制度を形作った明治期の制度設計が関わっているが、その基礎となった当時のドイツ人研究者に関する資料を収集する具体的な必要が生じたため現在収集中であるが、電子化されていない資料が少なくないため、現在収集方法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電子化されていない歴史的資料の収集が予想以上に困難であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
歴史的資料の収集を目的として、本年度はドイツおよびオーストリアを中心に資料収集を行うべく渡欧予定である。それをもとに、現在継続中の政治的自由と財産私有型民主制に関する研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた渡欧計画が実現できず、今年度に繰り延べすることになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に資料収集を目的として海外出張を計画している。
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