2015 Fiscal Year Research-status Report
競争的権威主義体制と立憲民主政の相互作用--東アジアの場合
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15K03123
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松平 徳仁 神奈川大学, 法学部, 准教授 (70554872)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比較憲法 / 立憲民主政 / 権威主義 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
1)平成27年12月、シンガポール大学で開催された「第6回アジア憲法フォーラム」(Asian Constitutional Law Forum)で東アジアにおける権威主義的立憲主義とそれへの対抗運動について報告し、2)平成28年1月に開催された第3回「環太平洋公法円卓会議」で日本の憲法政治について報告した。また3)研究成果の一部を公刊論文として公表した(「立憲主義、権威主義、ナショナリズム」佐々木弘通=宍戸常寿『現代社会と憲法学』(弘文堂、2015)所収)。 上記の業績は、リベラル・デモクラシーに軸をおく立憲民主政を完全に採用せず、シンガポールなどで見られるような競争型権威主義を志向する中国の大国化や、香港・台湾の学生によるラディカル・デモクラシーの試みで見られる反権威主義的傾向について、憲法学および関連の社会科学にもとづく体系的説明・分析を可能にするだけでなく、中国語圏の「民主化」運動とポピュリズムを共有しながら権威主義回帰の傾向を示す、日本における立憲民主政の動揺についても批判的視座を提供するという本研究の目的に合致する。また、立憲民主政とネイション・ビルディングと結びつきやすい権威主義との対立ないし緊張関係という構図の提示という同年度の実施計画を予定どおりに達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外学会における報告、研究論文の執筆・公表を実施計画どおりに行っていること、また他の研究者・研究機関との交流・意見交換を通じて研究方法の点検や、共同研究集会の開催企画も具体的に行っていること、研究の実施に必要なIT機器・蔵書の購入と整備も予定どおりに行っていることから、初年度の目標である「研究の基盤を確立すること」はほぼ達成され、研究全体としては、平成28年度に向けておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、平成28年度計画の実施、とりわけそれまでの研究成果の公表にとりかかる。科研費事業の性質上、研究成果の国際的な発信が必要であるとの見地から、英語の法学雑誌に昨年度行った報告を投稿し、本年度中の掲載を予定している。
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Research Products
(3 results)