2017 Fiscal Year Research-status Report
競争的権威主義体制と立憲民主政の相互作用--東アジアの場合
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15K03123
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松平 徳仁 神奈川大学, 法学部, 准教授 (70554872)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 比較憲法 / 立憲民主政 / 権威主義 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シンガポールなどで見られるような、リベラル・デモクラシー=立憲民主政を完全に採用しない競争型権威主義体制、同種の体制を志向する中国による新しい比較憲法パラダイム提示の動きや、香港・台湾の学生によるラディカル・デモクラシーの試みで見られるような運動民主主義的傾向について、憲法学および関連の社会科学にもとづく体系的説明・分析を試みるものであり、また一見中国語圏の「民主化」運動とは反対の方向に向かっている、日本における立憲民主政の動揺についても批判的視座を提供するものである。 1)平成29年5月、『法律時報』2017年5月号に「権力者の自己言及」を公表した。本研究では、東アジア地域の現象として位置づけている競争的権威主義は、トランプ政権下のアメリカにおいても見られるようになったことを指摘した。 2)研究計画どおりに参加できなかった国際公法学会(ICON-S)の研究大会については、平成29年6月、コペンハーゲンで開催された研究集会に出席し、東アジア関連のパネルで発言・討議を行った。ほかには台湾大学の張文貞教授、香港大学のアルバート・チェン教授、シカゴ大学のトム・ギンズバーグ教授らも参加した。3) 平成29年8-9月には、アメリカのワシントン大学ロースクールの客員研究員として、研究者交流・資料調査等を行った。しかし、滞在中に実施される予定であった比較憲法の国際会議が主催者の都合により、中止となった。 4)以上の研究活動を通じて、冒頭に述べた研究目的・実施計画にあるとおり、「前年度まで2年間の研究をふまえ、それまでに公刊する予定の中間研究について国内外の比較憲法・政治研究者の評価を取り込み、研究成果を再点検すること」ができたと考えている。また中間報告は、論文「民主憲政のはざまで」(樋口陽一ほか編『憲法の尊厳』(日本評論社、2017年)所収)として公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1)平成29年度中に、研究成果の中間報告ないし全体の暫定的な総括を公表する場として、例年アメリカ・ワシントン大学で行われていた環太平洋比較憲法円卓会議での報告を予定していた。だが主催者の都合で2017-18年の円卓会議は中止となったこと。 2)研究代表者の家庭の事情(親の死亡、病気)などで、研究の遂行に支障をきたしたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
1)本研究を全体として「権威主義体制と立憲民主政の相互作用――東アジアの場合」というテーマで研究内容の総括を行い、専門家的権威の衰退をエスニックな共同性に根拠を求める権威主義で糊塗する傾向、権威・寡頭制的要素と反権威主義を同時に内包する現実の民主政における立憲主義の役割、競争型権威主義の影響を受けている東アジア諸国の憲法体制の展望を明らかにする。 2)上述の趣旨の報告を、平成30年6月、国際公法学会香港大会において行う予定である。 3)全体の研究成果は、2019年までに単著(単行本)として公刊する予定である。すでに出版社との交渉に入っている状態である。
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Causes of Carryover |
理由:前述した事由により期間延長を願い出て、一年間の期間延長が認められたため。 計画:国際学会参加にかかる交通・宿泊費用
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Research Products
(2 results)