2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03129
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮本 十至子 立命館大学, 経済学部, 教授 (30351315)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 出国課税 / EU税法 / 租税回避防止指令 / 国外転出時課税 / 納税義務の拡張 / BEPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、出国課税の日独米比較法研究を媒介として、EU法の動向も踏まえながら、国際的な人や財の移転による課税逃れに対する適正な課税のあり方について提言することを目的とする。 平成29年度は、EATLP総会(ポーランド・ウッチ)をはじめ、国際学会に参加し、法人の居住地の移転と出国課税、EUにおける租税回避防止指令と出国課税に関する最新の動向についての情報を収集するとともに、OECDモデル租税条約が改訂されたことから、それも分析対象として研究を進めた。 出国課税制度を類型化したうえで、我が国の国外転出時課税制度、相続税法における拡張的納税義務の変遷、関連裁判例、特徴を浮き彫りにし、日独の出国課税の導入の背景の類似点、両制度の対象範囲の違いとその課題、出国課税とEU法との整合性とその射程を明らかにした(研究成果の一部は、『入門国際租税法 改訂版』で公表予定)。 EUの出国課税に関する最新の動向を紹介するとともに、日独の出国課税制度を比較し、その違いや課題について研究報告を行い、議論を重ねた。EUのBEPSへの対応について、租税回避防止指令(ATAD)、CFC税制等の動向を中心に、欧州の研究者を招聘し、共同研究会を開催して意見交換を行った。 なお、米国の市民権課税については、文献収集と分析に着手したが、十分な整理はできておらず、次年度の研究課題として取り組み、日独米の比較法研究から適正な出国課税のあり方についてまとめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、本研究の最終年度であったが、研究代表者の学内の役職就任に伴い、十分な研究時間の確保ができなくなったことと、税制改正、裁判例のフォローと米国の分析に予想以上の時間がかかり、研究成果完成まで若干の研究時間が不足した。さらに、昨年度参加した国際学会の成果が今年度公表予定のため、それも研究成果に反映する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
米国の市民権課税の研究が遅れており、今後はそれを検討するとともに、国際学会の研究成果の分析を加えて、日独米の比較法研究をまとめる予定である。海外研究者による国際研究交流の成果についての公表も進めていく。
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Causes of Carryover |
(理由)消耗品、論文執筆費用、国際学会プロシーディングの購入費用等の執行が次年度にずれ込んだため。
(使用計画)消耗品、論文執筆費用は漸次執行し、プロシーディングの購入費用は秋以降に執行予定である。
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Research Products
(6 results)