2017 Fiscal Year Annual Research Report
Changing Functions of "Intervention by Invitation" within the UN System
Project/Area Number |
15K03134
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤澤 巌 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (20375603)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 干渉 / 国際連合 / 主権 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度までの国家実行の調査分析結果を理論的に整理した。具体的には、第二次世界大戦後の国家実行に観察される「要請による干渉」の諸機能を、セルの二重機能論の枠組みに位置付けることを試みた。 セルによれば、中央集権的な統治者が存在しない国家間秩序においては、国家の統治者は二重の役割を果たしている。すなわち、国家の統治者は、彼らが国家法秩序で機能する場合には国家的統治者であるが、彼らが国際法秩序で機能する場合には国際的な統治者である。この国家の二重機能の結果、干渉についても、古典的理論が、正当な干渉の動機が存在するためには国家の利益が侵害されねばならないと考えるのに対し、セルは、侵害された国家利益は干渉を正当化するのに十分でなく、さらに国際法秩序自体が侵害されている必要があると指摘する。 前年度までの国家実行の検討を通じて、本研究の上記仮説が実証される場合、二重機能論を応用することによってこの実態を理論的に体系化することができるように思われる。すなわち、19世紀の「自己保存」の干渉は、まさに国家利益の実現という二重機能の一つ目の機能を果たすものである。他方で、冷戦期における「要請による干渉」および、近年の安保理の行動の補完としての「要請による干渉」は、両者とも二重機能の二つ目である国際法秩序の実現という機能を担うが、前者が従来の「自己保存」のための干渉を、「既存政府の要請」の要件を課すことによって武力行使の禁止という国連体制の基本原理の枠内に限定するという消極的な機能を持つに過ぎないのに対して、後者は国際の平和と安全のための国連の行動を補完するという積極的機能をも果たしていると捉えうるのである。
|
Research Products
(1 results)