2017 Fiscal Year Annual Research Report
Private International Law and Human Rights
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15K03138
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 康 京都大学, 法学研究科, 教授 (50263059)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際裁判管轄 / 当事者自治 / 合意管轄 / 準拠法 / 強行法規 |
Outline of Annual Research Achievements |
広義の国際私法に対して人権規範が及ぼす影響について包括的検討を行い、内国における私法秩序の構成要素でありつつも、外国法秩序との接点でもある国際私法の機能・位置づけについて新たな視点を提示しようとする本研究の目的の実現のため、本年度は国際裁判管轄との関係について、競争法のような国際的な強行法規が問題となっている紛争における国際裁判管轄の判断、とりわけ管轄合意や仲裁合意に及ぼす影響に関する問題を検討した。これは、人権規範自体が問題となっている事例ではないが、高度の強行性を有する規範が問題となっているという点では類似性を有するという意味で、人権規範の国際裁判管轄に対する影響という問題を考える際に有益であると思われる。EU競争法の私的エンフォースメントの促進という観点から、欧州司法裁判所2015年先決裁定につき、主観的併合、不法行為地管轄、合意管轄ぞれぞれの問題点について検討を行った。とくに、国際的な強行法規がモンダとなる場合の合意管轄の有効性については、わが国でも近時、東京地判平成28年10月6日判決などの事例が生じていて、今後活発な議論が展開されることが予想されるが、その際に比較参照されるEUの事例であると思われる。 以上に加えて、本年度においては、平成27年度と28年度に実施した検討の総括を主として行った。準拠法選択と外国判決の承認執行については、いずれも外国の法規範を内国において紛争処理に用いるためのツールである点で共通性があり、人権規範の影響にも一定の共通性が見られることが確認された。他方で、国際裁判管轄については基本的には民事裁判権の行使についての制約という手続問題で、その観点からの人権規範が問題となるが、本案に対して人権規範が問題となる場合には国際裁判管轄にも影響が及ぶ可能性があることが考えられる。
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Research Products
(1 results)